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ブログ・青木 正一
第198回:逆転の発想を持とう
2009年10月23日
逆転の発想。しばしば耳にする言葉であるが、物流業界の運営や現場改善、業務の流れや役割分担を見直す時にも必要不可欠な思考である。
平たく言えば、今まで前提としていた条件やルールを否定するところから考えてみることである。さらに広義には、会社や現場でタブーとされてきた事柄にメスを入れるということも、逆転の発想につながる。
ある電機メーカーの物流センターでは、何種類ものラベルがあるため、ラベル貼りの作業に大きな手間と作業時間を取られていた。今までも作業手順や人員配置の見直しを繰り返し行ってきたが、大きな作業時間の短縮にはつながらなかった。そこで「貼る」という作業を真っ向から否定することにした。
これは、何人もの現場リーダーやスタッフが集まって話し合えば良い答えが出るという類のものではなく、1人のひらめきにかかっている場合が多い。
1人の責任者と話し合った結果、一部のラベルを除き、ラベルの内容を段ボールケースに印刷することになった。結果、人員・作業時間とも約25%近くの削減となり、かつラベルの貼り間違いも当然なくなった。
また、ある地方の物流会社では、ドライバーではなく電気工事技術者を育成した。運送は「副」で電気工事サービスが「主」であるという社長の考えのもと、家電製品を運び、取り付け工事を行うといった一貫の業務に対応することで付加価値を創り、1人当たり、車両1台当たりの売り上げを増加させた。この会社では全社員の7割が電気工事免許を取得している。
現状の見直し、改善の延長線上に求めている答えがあることはまれかもしれない。むしろ、入り口の「前提」や「タブー」を取り崩すことで打開策が生まれることがよくある。目の前にある課題、問題点を一度、逆にしてみてはいかがだろう。この記事へのコメント
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筆者紹介
青木 正一
株式会社日本ロジファクトリー
1964年11月13日生まれ、京都産業大学経済学部卒。
学生時代に数々のベンチャービジネスを行い、卒業後、ドライバーとして大阪佐川急便入社。1989年株式会社船井総合研究所入社。物流開発チーム・トラックチームチーフを経て、コンサルティングでは対応できない顧客からの要望を事業化するという主旨で1996年“荷主企業と物流企業の温度差をなくす物流バンク”をコンセプトに、物流新業態企業「日本ロジファクトリー」を設立。代表取締役に就任。
主な事業内容として「現場改善実務コンサルティング」「物流専門人材紹介(ロジキャリアバンク)」「物流情報システム構築サポート(ロジシステムデザイン)」を行なっている。
また、物流業界におけるコンサルタントの養成、人材の採用、育成、M&Aといったプロデュース業務も手掛けている。
最近では、産業再生機構からの要請を受けるなど、「物流再生」に力を入れている。 -
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