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ブログ・野口 誠一
第259回:倒産地獄が「財」になる
2010年3月12日
倒産者は一様に絶望感、無力感、孤独感にさいなまれる。死ぬより辛い日々が続く。が、そこに仲間がいて、語り合える場があれば、少なくとも自殺は防止できる。
私は読売新聞に投稿し、「倒産者の会」を、「自殺防止の会」を、と訴えた。さらに、その会の社会的役割を念頭におき、次の5点を強調した。
1 自分たちの倒産体験を生かし、倒産しそうな経営者たちの相談に応ずる。
2 倒産者たちに仕事、就職を斡旋する。
3 倒産者(およびその予備軍)の家庭相談、人生相談にも応ずる。
4 定期的に勉強会を開き、もう一度、「経営」を基本から学び直す。
5 「なぜ失敗したか」を徹底的に分析し、反省し、もう一度真の経営者へ向けて再起をはかる。
私は「倒産者が何を言うか」という批判を覚悟のうえで、堂々と訴えた。その自信と勇気を支えてくれたのが、マキャベリの「天国へ行くのに、もっとも有効な方法は、地獄へ行く道を熟知することである」という言葉だった。
この言葉が正しいとすれば、倒産地獄を熟知する私たちは、十分に社会的「財」になれるはずである。少なくとも「反面教師」になれるはずである。その思いが私を投書に駆り立てたのである。
読売新聞は素早く対応してくれた。私が5つの方針を詳しく説明するや、「わかりました。有意義なアイデアだと思います。ボランティア活動であることを条件に、全面的にバックアップしましょう」と賛成してくれ、ただちにその紹介記事を掲載してくれた。
それが昭和53年8月6日の「八起会」発足につながったのである。言い出しっぺということで私が会長となったはいいが、日本では初めての試みとあって、その反響は実に大きかった。この記事へのコメント
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筆者紹介
野口 誠一
八起会 会長
株式会社ノグチプランニング 代表取締役
昭和5年 東京生まれ、日本大学卒業。
昭和31年 25歳で玩具メーカーを設立し、従業員5名・月商150万円でスタート。 わずか5年で従業員100人・年商12億円を売り上げるまでに成長させる。
しかし、ドルショックと放漫経営がたたり、昭和52年に倒産。自宅や工場などの全資産を処分して負債を処理し、会社を畳む。
翌53年、倒産経験者同士が助け合う倒産者の会設立を呼び掛け、『八起会』を設立。
弁護士や税理士、再起に成功した会員らが無料で電話相談に乗る『倒産110番』を開設。
再起・整理などの実務的なアドバイスや経験談を交えた人生相談を無料で奉仕している。
昭和59年 株式会社ノグチプランニングを設立し、再起をはかり、執筆活動や全国各地で講演活動を展開している。
平成28年2月18日 東京都内の病院にて逝去、享年85歳。
HP:https://yaokikai.com -
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