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ブログ・船井総研ロジ
第146回:循環型農業参入時の考え方
2012年6月5日
10年前から循環型農業の取り組みを行ってきて、よく耳にすることが、「農薬・化学肥料を使わないと栽培できない」ということです。しかし、本当にそうでしょうか?
化学肥料が日本で普及する以前の農業は、どのようだったのかを考えていただきたいと思います。人糞や家畜の糞尿を肥溜めで発酵させたり、堆肥づくりをして農業に利用していたのです。食品廃棄物や農産物を収穫した際の残渣なども、堆肥づくりに活用していたでしょう。昔から、こうして栽培された農産物を食べて生活して来たのであり、農薬・化学肥料を活用した農業というものは、ごく最近の農法だと言えます。農薬を使用しないと栽培できないのであれば、農薬が開発される以前の農産物は種を残すことが出来ず、どこかで絶滅していたことでしょう。しかし、実際には決してそんなことはないのです。
自然界においては、食物連鎖の流れの中で農産物も生育していると言えます。土の栄養を植物が根から吸収して成長し、その植物を草食動物や昆虫が食べます。その草食動物や昆虫を肉食動物などが食べ、各種動物の糞尿や植物などが土に返り、微生物によって発酵・分解し、また植物が根から吸収できる大きさに分解されることで、栄養となっていくのです。こうした流れの中には、農薬や化学肥料は登場しません。つまり、農薬や化学肥料に依存しなくても、十分、自然の循環は成り立っていると言えます。
農業経営を考えていく上でも、このような循環型農業に取り組んでいくことは、農薬代や農薬散布にかかる人件費が大幅に削減できるわけですから、まさに効率的な農業経営が可能になるのです。現代の農薬や化学肥料に依存した農業は、余計なことをやり過ぎているのではないでしょうか。改めて、原理原則を考えていきたいものです。
(株式会社船井総合研究所・山田浩太)
☆船井総研が運営する環境ビジネス情報サイト「eco-webnet.com」
※記事は11年7月の記事執筆時の情報に基づいており、現在では異なる場合があります。この記事へのコメント
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