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ブログ・青木 正一
第125回:パート・アルバイトにも人事考課を
2008年5月9日
パート・アルバイトの社保加入や有給休暇の適用が求められるなど、彼らが単純に「安価な労働力」ではなく、「社会的に産業を支えている重要な労働力」であるという認識になってきている。しかし物流現場では、その戦力を生かしていない。
ある物流現場でパート・アルバイトに対するアンケート調査を行い、最も課題や問題点があると感じている事柄を3つ挙げてもらった。結果は「時給について」が1位。
しかし、詳細を見ると「金額の大小」ではなく「頑張っている人とそうでない人、入社歴が浅い人と古い人など、何を基準に違いがあるのかがわからない」というのだ。
彼らの時給は口づてで公開されていく。その中で不公平感があると、モチベーションは下がる。
しかし、正社員のように退職や転職、会議やミーティングなどで不平や不満を吸い上げられる機会が少ないため、顕在化されずに内に溜まってしまう。
パート・アルバイトが戦力となっている現場では、パート・アルバイト向けの人事考課制度が必要となってくる。
彼らにとって、この制度の意味合いは大きい。正社員なら昇格、賞与、退職金、上司との飲みにケーションなどでカバーされることもあるが、彼らには、そのようなことが少ない。
「時間に遅れない」「あいさつができる」など基本的な事柄から始まるが、クリアされれば次はパートリーダーとして教える側に回るという前提で、評価項目が設定される。
ここで重要なのは「自己申告」である。自己申告評価と管理者による評価の間にギャップのある項目を見つけ出すことがポイント。それは価値観や達成感、レベルによる差なので、この項目について話し合えば、会社側との温度差はなくなる方向に行く。
パート・アルバイトを戦力化している物流会社に、「時給格差はどれくらいあるのか」を聞くと、意外にも各社少額。時給にして50円前後であった。
このようなことから、重要なのは「あなたを見ていますよ」という発信を通じてコミュニケーションを深め、意見や考えなどを吸い上げ、信頼関係を築いていくことである。 -
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筆者紹介
青木 正一
株式会社日本ロジファクトリー
1964年11月13日生まれ、京都産業大学経済学部卒。
学生時代に数々のベンチャービジネスを行い、卒業後、ドライバーとして大阪佐川急便入社。1989年株式会社船井総合研究所入社。物流開発チーム・トラックチームチーフを経て、コンサルティングでは対応できない顧客からの要望を事業化するという主旨で1996年“荷主企業と物流企業の温度差をなくす物流バンク”をコンセプトに、物流新業態企業「日本ロジファクトリー」を設立。代表取締役に就任。
主な事業内容として「現場改善実務コンサルティング」「物流専門人材紹介(ロジキャリアバンク)」「物流情報システム構築サポート(ロジシステムデザイン)」を行なっている。
また、物流業界におけるコンサルタントの養成、人材の採用、育成、M&Aといったプロデュース業務も手掛けている。
最近では、産業再生機構からの要請を受けるなど、「物流再生」に力を入れている。 -
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