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ブログ・青木 正一
第130回:保管機能の充実を図る
2008年6月13日
業容が拡大する会社、そうでない会社。黒字になる会社と赤字になる会社。新規がとれる会社、とれない会社。業務量が増える会社、増えない会社。この分かれ目の1つは、いずれも保管機能、いわゆる倉庫設備の有無にあると言えるだろう。
私は常々、「走らない物流会社」をつくることを提案・指導している。なぜなら、輸配送業務だけでは損益面、荷主に対するサービス面で限界があるからである。
確かに、輸配送のみで売り上げを拡大し、しっかり利益を出している会社も存在するが、大半はドライバーの給与体制にメスを入れている。また、このような会社は大量の輸送量を確保しなければならないため、まれな存在である。
一般の物流業を営む会社では、やはり保管機能の充実が不可欠である。
理由としては、(1)保管ができることで「入」と「出」の輸送を担える可能性が大きくなること(2)商品を預かり、保管することで、入・出庫料の収入が付加されることに加え、在庫管理・検品・梱包などの付帯業務が発生するということ(3)ラベル貼りや組み立てなどの流通加工が発生すれば、非正社員でも対応可能であるということ。そして(4)輸配送業務があれば、必ずどこかで保管(一時預かり含む)業務が発生しており、確実なニーズがあること──など。やはり物流業を営む上で、輸配送と保管、流通加工はワンセットである。
往々にして、中小物流会社は資金面で保管・倉庫業務に二の足を踏んでしまうことが多いが、必ずしも自前である必要はなく、借庫することで補うことができる。倉庫会社も、最近では信頼関係ができれば、50坪クラスから対応してくれるところも増えている。
ドライバーが務まらなくなった社員のための配置変換、非正社員比率を上げることでの売り上げに占める人件費の削減、運送収入以外での収入源の確保、既存荷主への対応力強化──といったことから、改めて保管機能、倉庫設備の更なる充実を検討されてはいかがだろうか。 -
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筆者紹介
青木 正一
株式会社日本ロジファクトリー
1964年11月13日生まれ、京都産業大学経済学部卒。
学生時代に数々のベンチャービジネスを行い、卒業後、ドライバーとして大阪佐川急便入社。1989年株式会社船井総合研究所入社。物流開発チーム・トラックチームチーフを経て、コンサルティングでは対応できない顧客からの要望を事業化するという主旨で1996年“荷主企業と物流企業の温度差をなくす物流バンク”をコンセプトに、物流新業態企業「日本ロジファクトリー」を設立。代表取締役に就任。
主な事業内容として「現場改善実務コンサルティング」「物流専門人材紹介(ロジキャリアバンク)」「物流情報システム構築サポート(ロジシステムデザイン)」を行なっている。
また、物流業界におけるコンサルタントの養成、人材の採用、育成、M&Aといったプロデュース業務も手掛けている。
最近では、産業再生機構からの要請を受けるなど、「物流再生」に力を入れている。 -
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