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ブログ・青木 正一
第180回:受け入れられる燃料サーチャージ
2009年6月4日
燃料サーチャージ制を導入しようと各社、各団体が躍起になっている。受け入れられる「燃料サーチャージ」とは何か。我々のクライアント先での事例を踏まえお伝えしたい。
燃料サーチャージとは結局、値上げを行ってもらうことの運賃ルールの提案である。しかし、このルールに納得していない荷主が多いことも事実である。
この値上げが成功する要因として、荷主企業の業績が「良い」か「横ばい」が大前提で、減益または赤字の会社ではなかなかかけ合ってもらえない。その上で、値上げの理由に多くの物流会社は燃料価格高騰を強調するが、これでは十分ではない。
(1)燃料価格の高騰、これ以外に(2)人手不足による採用コストの向上(3)品質維持のために優秀な人材の確保と教育(例えば日曜日に開催するフォークリフト研修など)(4)ダンボール、鉄など全般的な値上り環境にあること――これらの4つをしっかり伝えなければならない。
(2)から(4)については、荷主自ら当事者として実感・納得できることだが、(1)のみを理由にあげると自社都合を押し付けているようにとらえられてしまう。
また、商談では次の2つが重要である。1つは、1回の商談で終わらず、3〜5回は話し合いの場を設けること。相手の怒りが頂点に達していると判断したら、いったん保留することが重要である。
さらに、その荷主と取引を行っている、仲が悪くない同業他社と共に交渉することである。取引先全社と交渉しようとすると、どこか1社は抜け駆けすることが多く、反対に、荷主に大きな反感を買うことになるので注意していただきたい。
最後に、交渉の場には必ず高騰前・高騰後の車両別原価計算表を作成し、持参されることをお忘れなく。ちなみに、締結額はこちらが提示する値上げ幅の半分というケースが多く、3〜5%アップが平均である。弊社クライアント先では50%の会社が値上げ交渉を実施し、その半分の全体の25%の物流会社が交渉を成功させている。この記事へのコメント
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筆者紹介
青木 正一
株式会社日本ロジファクトリー
1964年11月13日生まれ、京都産業大学経済学部卒。
学生時代に数々のベンチャービジネスを行い、卒業後、ドライバーとして大阪佐川急便入社。1989年株式会社船井総合研究所入社。物流開発チーム・トラックチームチーフを経て、コンサルティングでは対応できない顧客からの要望を事業化するという主旨で1996年“荷主企業と物流企業の温度差をなくす物流バンク”をコンセプトに、物流新業態企業「日本ロジファクトリー」を設立。代表取締役に就任。
主な事業内容として「現場改善実務コンサルティング」「物流専門人材紹介(ロジキャリアバンク)」「物流情報システム構築サポート(ロジシステムデザイン)」を行なっている。
また、物流業界におけるコンサルタントの養成、人材の採用、育成、M&Aといったプロデュース業務も手掛けている。
最近では、産業再生機構からの要請を受けるなど、「物流再生」に力を入れている。 -
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