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ブログ・青木 正一
第181回:物流の仕事を好きと言えるか
2009年6月11日
我々の会社では、コンサルティング業務のほかに、物流専門の人材紹介事業(ロジキャリアバンク)と、実務のプロの育成を目的とした「物流実務カレッジ」というビジネススクールを営んでいる。共通のテーマは物流業界における「ヒト」に焦点を当てている点である。
物流業界で活躍していると判断できるセンター長や営業所長、また2代目、3代目経営者達は皆、「物流」におもしろみを感じている。「コンピューター業界では実績が作れなかった」「販売は自分に向いていなかった」などの消去法で物流業界を選んだ人は、総じてモチベーションが低く、「活躍する人材」とまで至らないケースが多い。
一方、最初から物流業界が好き、仕事が好きで仕方がないといった人材もまた、ほとんど見当たらないのである。要するに消去法の仕事選びであれ、「親の事業を継がなければならなかった」など積極的な理由なくこの業界に就いたとしても、そこからの「歩み」がおもしろみを持つことになるかそうでないかを決めるのは言うでもない。
その「歩み」とは何か。それはひとつに、物流の幅広さと奥深さを実感・体験したことがあるかどうか。そしてもうひとつに、机上のプランニングと現場オペレーションのギャップを認識しているか、または現場経験を持った現場主義であるかどうか。この2点が大切である。
前者は、具体的に言うと「運送」「保管」「営業所内事務」など、限定された狭義の物流に携わっていてもおもしろみは出てこない。センター運営や海外調達品に携わるなど、その幅と深さを知ると、たいていの人材は視野を広めようとし、その新しい分野の情報にアンテナを張るようになる。
後者では、いかに物流の計画・プランニングには「絵に描いた餅」が多いことかと実感する。そのことと真っ向から向き合い、ヒトのスキルやモチベーションに大きく左右される現場運営の難しさと、その改善が果たされたときの達成感はやった者でしかわからない。この記事へのコメント
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筆者紹介
青木 正一
株式会社日本ロジファクトリー
1964年11月13日生まれ、京都産業大学経済学部卒。
学生時代に数々のベンチャービジネスを行い、卒業後、ドライバーとして大阪佐川急便入社。1989年株式会社船井総合研究所入社。物流開発チーム・トラックチームチーフを経て、コンサルティングでは対応できない顧客からの要望を事業化するという主旨で1996年“荷主企業と物流企業の温度差をなくす物流バンク”をコンセプトに、物流新業態企業「日本ロジファクトリー」を設立。代表取締役に就任。
主な事業内容として「現場改善実務コンサルティング」「物流専門人材紹介(ロジキャリアバンク)」「物流情報システム構築サポート(ロジシステムデザイン)」を行なっている。
また、物流業界におけるコンサルタントの養成、人材の採用、育成、M&Aといったプロデュース業務も手掛けている。
最近では、産業再生機構からの要請を受けるなど、「物流再生」に力を入れている。 -
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