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ブログ・青木 正一
第185回:経営の両輪その2
2009年7月10日
今回は営業と業務運営という両輪について述べていきたいと思う。この両輪のバランスは「社内的なモノ」と「社外的なモノ」に分かれる。
まず、社内における営業と業務運営の関係は仲良しであってはならない。むしろ、少々の口喧嘩があるくらいがちょうど良い。「こんな安い値段では採算が合わない」「1か月後の新規対応など人を集めて、教える時間がない」とか、また反対に「荷主から『誤出荷がまたあった』とクレームがあった」「『商品の扱いを丁寧にして欲しい』という要望も来ている」などといった具合に、「わかっていること」を隠さずに伝え、それをどう改善・調整するかを会社として取り組まなければならない。
営業側と業務運営側の意見がまとまらない場合は、最終的には取締役クラスなどの全社的な立場の人間が決定を下すことになる。これはメーカーにおける営業と生産などでも同じことで、立場が違えば考え方も違う。従って、意見対立はある意味で健康体と言える。社外的に、この両輪が最終的には一枚岩として見られる。
ある物流アウトソーシング会社は営業力が非常に高く、受注件数も毎年増加していたが、それと同様に取引停止件数も毎年増加していた。原因は物流センターの運営品質にあった。出荷漏れ、誤出荷が多発しており、それに伴って荷主のクレームも頻繁に発生した。その会社の営業部長は「このままでは、いくら受注ができても時間の問題である。現場運営の悪評が知れ渡っては、取れていた案件も取れなくなる」と社長に直談判し、現場改善役を申し出たのである。
荷主から見れば、営業対応力をその会社の力と判断して発注することが多いが、営業力と現場力は全く別のモノと次第に知らされることになる。
このコーナーでも、何度となくお伝えしている「現場はショールームである」は真であると思っている。現場力のある会社に「営業担当者が不在」という物流会社が多いことからも、このことがお分かりいただけるのではないだろうか。この記事へのコメント
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筆者紹介
青木 正一
株式会社日本ロジファクトリー
1964年11月13日生まれ、京都産業大学経済学部卒。
学生時代に数々のベンチャービジネスを行い、卒業後、ドライバーとして大阪佐川急便入社。1989年株式会社船井総合研究所入社。物流開発チーム・トラックチームチーフを経て、コンサルティングでは対応できない顧客からの要望を事業化するという主旨で1996年“荷主企業と物流企業の温度差をなくす物流バンク”をコンセプトに、物流新業態企業「日本ロジファクトリー」を設立。代表取締役に就任。
主な事業内容として「現場改善実務コンサルティング」「物流専門人材紹介(ロジキャリアバンク)」「物流情報システム構築サポート(ロジシステムデザイン)」を行なっている。
また、物流業界におけるコンサルタントの養成、人材の採用、育成、M&Aといったプロデュース業務も手掛けている。
最近では、産業再生機構からの要請を受けるなど、「物流再生」に力を入れている。 -
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