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ブログ・青木 正一
第195回:「ムダ」より「ムラ」取りー1
2009年10月2日
トヨタ式改善をはじめ、物流現場で「改善」というと、「どのようなところに、どれだけのムダがあるか」というロジックで改善を進めていくのが王道である。
このような「ムダ」取りも、進むにつれてボトルネックの対象が徐々に顕在化してくる。そして、他部署に原因があったり、ヒトのモチベーションやスキルなど「ムラ」に起因する場合も多い。
ピッキングやラベル貼りの作業品質が均一でなかったり、デジタコを導入したのは良いがドライバーによって燃費や速度レベルが大きく違ったり、また、週や月単位での入・出庫量に大きな格差があるなど、これらの「ムラ」も改善で見逃すことのできない重要なファクターである。
「ムラ」は「ムダ」よりも性質(たち)が悪い。なぜなら「ムダ」は比較的顕在化してくることが多い。したがって「可視化」が早期にできる。一方、「ムラ」は潜在化している場合が多いことと、教育や他部署または協力会社、取引先との調整が必要になってくるなど実施すべき項目が増え、対象となる業務の範囲も広がってくる。
しかし、この「ムラ」取りができないと、本当の改善・改革にはならない。それは「ムラ」の方が根が深く、スタッフのメンタル面に起因していることが多いからである。また、「ムダ」は小さな単位で再発する確率が高いが、「ムラ」は一度抜本的な治療しておくとシクミとなって定着し、再発する確率が低い。
多くの現場では、この「ムラ」は早い段階で「改善不可能」というレッテルを貼られ、着手されない場合が多い。「ムダ」から「ムラ」まで踏み入れる改善、改革と、「ムダ」取りだけで終わってしまう改善・改革。これは継続的かつ責任者を設置した「組織」として取り組むのか、期間限定の「プロジェクト」として位置づけられているかで大きく分かれてしまうのである。この記事へのコメント
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筆者紹介
青木 正一
株式会社日本ロジファクトリー
1964年11月13日生まれ、京都産業大学経済学部卒。
学生時代に数々のベンチャービジネスを行い、卒業後、ドライバーとして大阪佐川急便入社。1989年株式会社船井総合研究所入社。物流開発チーム・トラックチームチーフを経て、コンサルティングでは対応できない顧客からの要望を事業化するという主旨で1996年“荷主企業と物流企業の温度差をなくす物流バンク”をコンセプトに、物流新業態企業「日本ロジファクトリー」を設立。代表取締役に就任。
主な事業内容として「現場改善実務コンサルティング」「物流専門人材紹介(ロジキャリアバンク)」「物流情報システム構築サポート(ロジシステムデザイン)」を行なっている。
また、物流業界におけるコンサルタントの養成、人材の採用、育成、M&Aといったプロデュース業務も手掛けている。
最近では、産業再生機構からの要請を受けるなど、「物流再生」に力を入れている。 -
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