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ブログ・青木 正一
第203回:経営者が頑張っている-1
2009年11月27日
不況時代に突入しながらも、しっかりと業績を維持している物流会社も多い。これらの会社の共通点は、いずれも血の出るような経営者の気力と努力があることである。
ある物流会社の2代目T氏は、経営を先代からバトンタッチされた後、営業所まわりに奔走した。グループ内に6つの営業所があり、T氏はその営業所巡回を1日に2、3営業所を回った。その距離、何と1日1000キロメートル。東京・大阪間を往復する距離である。
移動方法は車。学生時代にラグビーで鍛えたT氏も、さすがに1000キロメートルの移動はこたえたようである。しばしば睡魔が襲い、左太ももの内側を何度もつねりながら走ったという。太もものあざは今も消えることはない。
また、S物流会社の社長は鹿児島から上京し、1代で年商30億円にもなる会社を築き上げた。途中、倒産の危機や金融詐欺にも引っかかってしまい、会社の存在が危ぶまれたが、長男が会社を継ぐことになってからは次第に経営が安定してきた。
強靭な気力と体力で病気にかかったことがないという60歳のS氏。顔つやも良く、元気そのものである。今までの経営を聞くと、1日の睡眠時間は、わずか2時間だという。
理由は、「常に会社のことを考え、枕元にはネタ帳ならぬ『経営メモ帳』が置いてあり、何か気付いたことがあると、すぐに目を覚ます」という。そして、そのメモ帳に必要なことを走り書きし、また布団に入る。このような生活を続けている中で、1日の睡眠時間が2時間というのが当たり前になった。
有能な経営者ほど、自らの苦労話はそう簡単には話さない。しかし、一度その話を聞けば、壮絶な気力と努力の賜物であることが分かる。また、さらに共通しているのは、本人たちがそのことを苦労と思っていないことである。この記事へのコメント
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筆者紹介
青木 正一
株式会社日本ロジファクトリー
1964年11月13日生まれ、京都産業大学経済学部卒。
学生時代に数々のベンチャービジネスを行い、卒業後、ドライバーとして大阪佐川急便入社。1989年株式会社船井総合研究所入社。物流開発チーム・トラックチームチーフを経て、コンサルティングでは対応できない顧客からの要望を事業化するという主旨で1996年“荷主企業と物流企業の温度差をなくす物流バンク”をコンセプトに、物流新業態企業「日本ロジファクトリー」を設立。代表取締役に就任。
主な事業内容として「現場改善実務コンサルティング」「物流専門人材紹介(ロジキャリアバンク)」「物流情報システム構築サポート(ロジシステムデザイン)」を行なっている。
また、物流業界におけるコンサルタントの養成、人材の採用、育成、M&Aといったプロデュース業務も手掛けている。
最近では、産業再生機構からの要請を受けるなど、「物流再生」に力を入れている。 -
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