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ブログ・馬場 栄
第125回:面接時に書面で確認したい事項
2018年2月1日
前回、お話ししましたように、入社前に健康状態について明確にしておくことは未然に事故を防ぐことにつながります。また、その他の無用なトラブルを避けるためにも業務に関連する様々な事項を、事前に慎重に確認することが必要になってきます。しかし、面接や提出書類のリサーチを徹底して行っても確認できないリスクは、どのようにしてつかめばいいのでしょうか。
おすすめしたいのが、応募者の健康状態や過去の転職状況、運転状況など、会社が把握しておきたいリスクについて、応募者本人から面接時に「はい」「いいえ」形式で回答してもらう「告知書類」を取り付ける方法です。面接時に口頭で確認しづらい事項について書面で確認を行うのです。
面接で特に問題がなく、通常であれば採用内定を伝える人に対して、内定を出す直前の面接で記入してもらいます。告知書の内容、または書き方、記入時の応募者の挙動(例えば筆が止まるなど)に疑問があれば、採用を見送ることも考えられるのです。我々の経験から、これらのいずれかに問題がある社員は、入社後にトラブルを起こす可能性が高いのです。
ただし、面接時に何でも確認してよいということではありません。あくまで業務に関連することしか確認することができず、例えば、業務に関係ない宗教や支持政党を確認することはできません。また、病歴についても社会的差別やプライバシー侵害につながるエイズやB・C型肝炎については確認を避けるべきです。逆に運転業務と密接な関連のあるてんかん、精神疾患であれば確認する必要があると考えます。確認する事項は、必ず業務と関連のある質問のみを行う必要があるのです。
社員が入社した後、問題があるからといって解雇することは相当難しく、労使双方のためにも入社前の面接、書面でしっかり見極める必要があります。面接時に問題があることを社員が自発的に言わなかった、隠していたというのは理由になりません。確認をしなかった会社に落ち度があるのです。入社後、労使間の無用なトラブルを避けるためにも採用の段階で厳しくチェックし、敷居を高くすることが重要になってくるのです。
(保険サービスシステム株式会社・社会保険労務士・馬場栄) -
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筆者紹介
馬場 栄
保険サービスシステム株式会社 社会保険労務士
年間約300社の経営者の相談・アドバイスを行っている。中小企業の就業規則や残業代など、幅広い労務管理のアドバイスに高い評価を得ている。 -
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