-
ブログ・高橋 久美子
第312回:2016年以降の業界予測と運送会社がとるべき戦略とは(4)
2016年2月23日
トラック20台以下の運送会社がとるべき戦略を、2016年からの業界予測を交えてお話ししています。
そもそも「配送料」というのは、企業にとって必要悪です。これは、私たちが納得したくなくても、目をそらせない事実です。
工業製品の製造コストの内訳は、「工場建物の設備投資」「原材料費」「電気代等の施設費」「人件費」、そして「物流費」です。この中で、減らしても製品品質に影響が及ばない部分が「物流費」です。原材料を安価にすれば、品質が落ちますし、人件費を削れば不満が出て、これも品質低下につながります。コストを削っても品質に影響がない部分は、ずばり、「配送料だけ」なのです。ですから、メーカーにとって、ここをいかに減らせるかが、利益を残せるかどうかのポイントになるわけです。
「安全なトラック輸送のために、適正運賃の収受が必要だ」「低い運賃で受ける業者がいるから悪いんだ!」という声をよく聞きます。確かに正論です。我々は、利益が確保できる運賃を収受する努力をしなければなりません。
しかし、安い運賃で受ける業者を非難しても仕方がありません。なぜなら、競争原理は資本主義経済の基本原理の一つだからです。日本は資本主義の国です。資本主義経済下では、競争原理、つまり、自社努力で安い価格を設定する自由が認められています。いくら安くしても自由なのです。
安くするのはけしからん、というのはイコール、資本主義はけしからん、と言っていることと同じなので、それでは、別の国で商売するしかないですね、ということになってしまいます。
重要なことなので、繰り返します。このように、日本の経済状況から考えても、運送業の本質から考えても、これから運賃が上がって、昔のように「普通に仕事をしていれば利益を確保できる時代」が再来することはありません。
それでは、小さい運送会社が倒産しないためには、どうやって生き延びればいいのでしょうか。この記事へのコメント
-
-
-
-
筆者紹介
高橋 久美子
あなたの会社が儲かっていない本当の理由
規制緩和により、夢大きく独立開業した運送会社の社長たち。その社長さんたちが、規制緩和後の業界環境の変化により、今、とても厳しい状況に立たされています。経営不振の影響によるメンテナンスの不備も懸念され、それが引き起こす悲惨な交通事故も、連日ニュースで報道されています。このような危機的状況を受け、中小規模運送会社の根本的な経営改善と救済を目的として発足したのが、私たち「全国中小規模運送会社 経営改善推進委員会」です。
全国中小規模運送会社 経営改善推進委員会 -
「ブログ・高橋 久美子」の 月別記事一覧
-
「ブログ・高橋 久美子」の新着記事
-
物流メルマガ