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ブログ・川﨑 依邦
経営再生物語(381)リーダーシップについて(10)―1
2022年6月20日
リーダーに求められる資質として、人を見抜く洞察力がある。
自分の周りにイエスマンばかり集めて、企業を危機に陥らせた例は多い。従って人の長所を見抜き、うまく活性化していけるかどうかは、企業成功の分岐点である。
A社は従業員30人の中小運送会社である。社長は大手企業を35歳で脱サラし、創業してわずか10年で20億の年商へとA社を育てあげた。
社長は営業マンタイプで、大手企業に在籍していた頃の人脈を活用して、次々と売り上げを伸ばしていった。創業して3年は、経理関係は奥さんと税理士に任せきっていた。
社長「昼も夜もなく駆けずりまわっていましたからね。経理は家内任せでしたよ。ときどき資金繰りが苦しいときは発破をかけられて、こりゃいかんと思って営業に突撃ですわ」
次第に1人、2人と社員が増えて、3年で10人ぐらいになって社長は自社の組織について考えるようになった。
社長「このままの、なりふり構わずスタイルは変えていこう。家業の段階から、企業へと進もう。経理も外部からスカウトしてこよう」
新聞広告で経理の人材を採用した。40歳の男である。当初奥さんは、私の仕事が取られると反対したが、押し切られてしまった。
この社長は人をすぐに信用するタイプで、会社の実印や、銀行印を40歳の男が入社して、わずか1年ぐらいで渡してしまった。営業には絶大の自信があるが、経理方面は苦手意識があり軽く見がちであった。創業時から社業は順調で、売り上げはグングン伸びていたので、資金繰りで本格的に追い詰められた経験はなかった。奥さんが、ときどき社長に発破をかけるぐらいである。
40歳の男、B氏は入社当初から実にまじめで、経理のコンピューター化を進め、夜も遅くまで骨身を惜しまずに働いた。社長は、B氏の仕事振りに満足した。B氏は入社して3年で役員になった。
(つづく)
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筆者紹介
川﨑 依邦
経営コンサルタント
早稲田大学卒業後、民間会社にて人事・経理部門を担当し、昭和58年からコンサルタント業界に入る。
63年に独立開業し、現在では『物流経営研究会』を組織。
中小企業診断士、社会保険労務士、日本物流学会正会員などの資格保有。
グループ会社に、輸送業務・人材サービス業務・物流コンサルティング業務事業を中心に事業展開する、プレジャーがある。
株式会社シーエムオー
http://www.cmo-co.com -
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