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ブログ・小山 雅敬
191回:中小運送会社の新型コロナウイルス感染予防対策
2020年9月15日
【質問】全国に感染が広がっている新型コロナウイルスの予防対策として、中小運送会社が実際に現場で行っている取組内容について教えてください。
新型コロナウイルスの感染が世界中に広がり、日本経済にも甚大な影響を与えています。中小運送会社の現場にも、その影響が顕著に表れています。物量や売り上げ減少など経営に対する直接的な打撃は取扱貨物(鉄鋼、自動車、紙など)や荷主(海外取引中心など)により相違が見られます。
一方、コロナウイルス感染予防対策は、特に食品を扱う運送会社や介護施設や保育園などに配送している運送会社において取引先から厳しい管理を求められていますが、日常の感染予防対策に関しては、ほぼ全ての運送会社が何らかの取り組みを行っています。
中小運送会社が行う対策のうち最も多いのは、点呼時の体温測定と体調のチェックです。非接触型の体温計が入手困難なため、各自が自宅で測って点呼時に体温を申告させている会社、点呼場で各自が測っている会社、体温計を社員に支給している会社など、まちまちです。体温の申告だけでなく、当日の咳やだるさの有無、家庭の健康状況、近親者隣人等の感染の有無、などを日々確認している会社もあります。37・5度以上の熱があれば乗務させずに退社させるルールを決めている会社もあります。
次に多い取り組みは、手洗いの励行とマスクの着用を義務付けることです。作業前後の手洗いは必須で、事務所内でも励行しています。マスクは品薄で社員に配布できないと悩む経営者の声をよく聞きます。玄関や点呼場に消毒液を設置している運送会社は、よく見ます。
また、現在は会議や社員研修が実施できないため、厚労省の感染予防チラシを拡大して点呼場や休憩室に掲示し、注意喚起している会社が見られます。地場ドライバーの場合は近隣の感染状況を知っていますが、長距離ドライバーは遠隔地に行きますので、各地のクラスター感染発生状況などの情報を共有し、休憩時の飲食店利用などに注意するよう指導しています。業務によっては書類伝票類の受け渡し、貨物の引き渡し時などにも注意するように指導しています。また、休日の過ごし方を指導しており、パチンコ、カラオケ、ライブハウス、スポーツジムなどの密室空間を避けるように注意しています。
これらの対策は感染者の発生で被る甚大な影響を防ぐ狙いもありますが、社員の安全配慮義務がある会社の責任として取り組む必要があるでしょう。
(コヤマ経営代表 中小企業診断士・日本物流学会会員・小山雅敬)
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筆者紹介
小山 雅敬
コヤマ経営
昭和53年大阪大学経済学部卒業
都市銀行入行。事業調査部、中小企業事業団派遣、シンクタンク業務に従事。
平成4年三井住友海上入社。中堅中小企業を中心に経営アドバイス、セミナー等を多数実施。
中小企業診断士、証券アナリスト、日本物流学会正会員 等資格保有。 -
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