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ブログ・小山 雅敬
第262回:運送会社が使いやすいおすすめの助成金とは
2023年11月17日
【質問】弊社はこれまで助成金を活用してきませんでしたが、今後は活用したいと考えています。今年度の助成金で運送会社が使いやすいおすすめの助成金があれば教えてください。
2023年度の助成金制度は多種多様な内容で実施されていますが、そのうち運送会社が使いやすい厚労省の助成金は次のとおりです。
①「働き方改革推進助成金 適用猶予業種等対応コース」
この助成金は2024年4月1日から時間外労働上限規制が適用になる業種(現行の適用猶予業種)が対象であり、主に運送業が対象となります。生産性を向上させ、労働時間の削減や勤務間インターバル制度の導入や適用拡大などに取り組む中小企業事業主を支援するものです。
例えば現在36協定の時間数を月80時間超で設定している会社が80時間以下に縮減すれば上限150万円、さらに60時間以下に縮減すれば250万円を上限に助成金が支給されます。2024年問題を目前に控えて、今年度は通常より高い助成金額に設定されており、今年の目玉ともいえる助成金です。ただし交付申請書の提出期限が11月末(提出先 労働局雇用環境均等部)なので、検討される会社は急いで準備する必要があります。
②「業務改善助成金」
この助成金は事業場内で最も低い賃金を30円以上引き上げ、生産性向上に資する設備投資を行った場合に助成金を支給するものです。引き上げ額(30円〜90円以上)と対象労働者数(1人〜10人以上)により30万円から600万円まで助成金の上限額が変化します。
今年8月末に一部運用条件が緩和され、使いやすくなりました。職場の賃金引き上げを予定している会社はこの助成金の活用を検討されるとよいでしょう。
③「キャリアアップ助成金 正社員化コース」この助成金は運送業に限らず最も活用されている助成金といえます。有期雇用労働者を正規雇用労働者に転換した場合などに支給されます。この助成金の魅力は助成金額の高さ(1人当たり57万円、申請上限人数20人)です。また使途が設備投資などに限定されていない点も魅力といえます。
同一労働同一賃金対策の一環で正社員登用制度を検討されている会社はぜひ活用されるとよいでしょう。事前にキャリアアップ計画の作成・提出が必要なのでご注意ください。
その他の助成金では、「65歳超雇用推進助成金」「特定求職者雇用開発助成金 就職氷河期世代安定雇用実現コース」「両立支援等助成金 出生時両立支援コース」などが使いやすくおすすめです。
(コヤマ経営代表 小山雅敬/中小企業診断士・日本物流学会会員)
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筆者紹介
小山 雅敬
コヤマ経営
昭和53年大阪大学経済学部卒業
都市銀行入行。事業調査部、中小企業事業団派遣、シンクタンク業務に従事。
平成4年三井住友海上入社。中堅中小企業を中心に経営アドバイス、セミナー等を多数実施。
中小企業診断士、証券アナリスト、日本物流学会正会員 等資格保有。 -
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