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ブログ・小山 雅敬
第270回:運送業の安全推進に効果的な人事制度とは
2024年4月19日
【質問】弊社は従来から安全教育に注力してきましたが、今後はさらに安全意識の向上を図るため、賃金や評価制度、組織等の見直しを行っています。運送業で安全推進に効果的な人事制度のポイントがあれば教えてください。
運送業の安全推進に必要不可欠な取り組みは第一に「安全教育」であり、運転技術の向上や安全な作業手順、危険予知トレーニングなど多面的な安全教育の重要性は言うまでもありません。
しかしながら、安全教育で学んだ内容を忠実に実践している人と実践していない人がいるため、事故が絶えません。個人の意識の違いにより、結果に大きな差が生じているのです。本気で安全体制を推進するためには、安全教育とともに安全を重視した人事制度に見直すことが必要です。
また、運送業の場合はドライバー特有の価値観を押さえて設計することが重要であり、他業種の人事制度を真似て導入すると失敗することがあります。
例えば、他業種では人事評価結果を昇給時の号俸差や賞与の一部に反映すれば一定の効果がありますが、これは評価結果が将来の昇格・昇進などに影響する背景があるからです。
ドライバーの場合は、一年後の数百円の昇給差や半年後の賞与の差などはあまり意識されておらず、日々の行動を変える効果はほとんどありません。ドライバーの行動を変えるには、毎月の賃金に直接反映されるか否かが重要であり、行動レベルに明確な差を生み出します。
運送業が安全を重視した人事制度を構築する際の重要ポイントは①安全教育の徹底②安全重視の評価制度③評価結果を月例賃金に反映④安全重視の組織づくりの4つですが、ここでは②以降のポイントについて説明します。
評価制度は前号(269号)の本コラムで解説したとおり、単に事故の有無だけを見るのではなく、その発生経緯や結果など多面的に評価する必要があり、安全評価項目は最重要なため、3割以上の評価ウェイトを付して評価します。また、評価結果の賃金への反映は月例賃金の「安全手当」に反映します。無事故手当ではダメです。安全への取り組みは単に事故の有無だけで判断してはいけません。スピード・急加速急発進などや荷役作業の正しい動作などを評価して手当に反映します。
また、組織作りでのポイントは班制度の活用です。特に班別無事故報奨金制度はチームでの無事故推進意識を向上させ、仲間に迷惑をかけないように日頃から正しい安全行動を意識するようになります。班は1班5人で構成し、班長を無事故推進者として任命します。
(コヤマ経営代表 小山雅敬/中小企業診断士・日本物流学会会員)
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筆者紹介
小山 雅敬
コヤマ経営
昭和53年大阪大学経済学部卒業
都市銀行入行。事業調査部、中小企業事業団派遣、シンクタンク業務に従事。
平成4年三井住友海上入社。中堅中小企業を中心に経営アドバイス、セミナー等を多数実施。
中小企業診断士、証券アナリスト、日本物流学会正会員 等資格保有。 -
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