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ブログ・小山 雅敬
第122回:採用協力金や入社祝い金制度の効果
2018年1月16日
【質問】運送会社が求人対策として実施する「採用協力金制度」や「入社祝い金制度」の効果について教えてください。
全国の運送会社を訪問していると、「人が来なくて困っている」と悩む声を多く聞く一方で、「うちは募集すると人が集まるので、不足感はありませんね。それよりも長時間労働の改善が当面の課題です」などと答える経営者もいます。この差は、どこから生まれるのか。もちろん、労働条件や職場環境などの要素もありますが、求人募集に成功している会社を見ると、社員の紹介(いわゆる友呼び)をうまく活用している実態が見られます。ドライバー仲間の情報網は想像以上に広く緊密で、求人票や求人広告を超えた効果を生み出します。ある運送会社は「紹介報奨金」として入社1人あたり10万円を紹介者の社員に支給しています。入社して1週間後に3万円、定着すれば3か月後に7万円と分けて支給しています。各5万円を2回に分けて支給している会社もあります。また、別の運送会社では、紹介者の社員に対して1人あたり毎月1万円を給与に上乗せして支給し、入社した人が在籍している期間支給し続けています。その経営者は「外部の求人専門業者などに高額を支払い続けるよりも、わが社の社員に還元して喜んでもらうほうが良い」との考え方です。
一方、入社した社員に対しても、入社祝い金を支給する例が多く見られ、一定の効果をあげています。10万円程度がよく見られる金額で、間隔を空けて分割支給しています。
なぜ、この制度が求人に効果を発揮するかといえば、求職者が入社月の生活資金に充てられるからです。通常、入社後の最初の給与は、翌月の給与支払い日に受け取りますが、貯金がない人には入社後約一か月半にわたる生活資金が不安です。入社祝い金は当座の生活資金になるのです。これと同様の効果をもたらす制度が、入社後しばらくは日給制とし、週ごとに分割して支給する制度です。固定給にして働いた分を早めに手渡すことで求職者に安心感をもたらします。これと似ていますが絶対にやってはいけないのが給与の前貸しです。これは借金に追われている人が、よく願望するものですが、後日トラブルに発展し、相談を受けることが多いので、お勧めしません。
「採用協力金」や「入社祝い金」の制度は適切に取り入れれば求人に効果を発揮しますので検討されると良いでしょう。
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筆者紹介
小山 雅敬
コヤマ経営
昭和53年大阪大学経済学部卒業
都市銀行入行。事業調査部、中小企業事業団派遣、シンクタンク業務に従事。
平成4年三井住友海上入社。中堅中小企業を中心に経営アドバイス、セミナー等を多数実施。
中小企業診断士、証券アナリスト、日本物流学会正会員 等資格保有。 -
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