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ブログ・野口 誠一
第86回:倒産する人・しない人15か条 自分の位置を確認できるか否か
2004年9月20日
「倒産する人・しない人15か条」の第9条は、「自分の位置を確認できるか否か」である。
これは経営者に要求される能力のなかでも、もっとも重要なものの1つと言っていい。自分の位置がわからなければ、進むこと(投資)も、退くこと(撤退)も不可能だからである。
私は常々、「経営者は過去が映るバックミラーと、未来が映るフロントミラーの2つを持たなければならない」と言っているが、それは、その2つのミラーによって自分の現在位置を確認できるからである。バックミラーには昨日までの経営実績が映る。数字は嘘をつかない。その数字を分析すれば、生産性や総資本利益率、売上高経常利益率などの変化と推移が一目でわかり、自社の強みと弱み、効率と非効率の現状も明らかとなる。あとはその現状に沿って強みを伸ばし、弱みを補強すべく経営の舵を切るだけのことである。
一方、フロントミラーには自社の未来の姿が映らなければならない。むろん、映るように努力したうえでの話である。たとえば、同業他社の動きや業界の現状はもちろん、日本経済、グローバル経済の行方を展望し、社会情勢や消費市場の動向にも目配りしておく必要がある。そうした予測とデータを頭の中にインプットしておかない限り、いくらフロントミラーを覗いても何も映らない。
中小企業はCSR(企業の社会的責任)などほどほどでいい、という時代は決定的に過ぎた。CSRを無視すれば、どんな独自の部品や技術があっても、大企業は取引してくれないし、金融機関も融資に応じてくれない。すでに環境配慮型企業への低利融資は、地方銀行の間にも広がりつつある。CSRとコンプライアンス(法令順守)を無視すれば、大企業といえども危うくなることは、西武グループが証明している。この記事へのコメント
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筆者紹介
野口 誠一
八起会 会長
株式会社ノグチプランニング 代表取締役
昭和5年 東京生まれ、日本大学卒業。
昭和31年 25歳で玩具メーカーを設立し、従業員5名・月商150万円でスタート。 わずか5年で従業員100人・年商12億円を売り上げるまでに成長させる。
しかし、ドルショックと放漫経営がたたり、昭和52年に倒産。自宅や工場などの全資産を処分して負債を処理し、会社を畳む。
翌53年、倒産経験者同士が助け合う倒産者の会設立を呼び掛け、『八起会』を設立。
弁護士や税理士、再起に成功した会員らが無料で電話相談に乗る『倒産110番』を開設。
再起・整理などの実務的なアドバイスや経験談を交えた人生相談を無料で奉仕している。
昭和59年 株式会社ノグチプランニングを設立し、再起をはかり、執筆活動や全国各地で講演活動を展開している。
平成28年2月18日 東京都内の病院にて逝去、享年85歳。
HP:https://yaokikai.com -
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