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ブログ・野口 誠一
第88回:倒産する人・しない人15か条 目指すものがあるか否か
2004年9月26日
「倒産する人・しない人15か条」の第11条は、「目指すものがあるか否か」である。
人には誰にも「目指すもの」があろう。が、同じ「目指すもの」でも、個人と経営者では、おのずと次元が異なる。経営者の「目指すもの」は、経営者個人の範囲におさまらないからである。たとえば売り上げ倍増を目指したとしても、その実現は社員の努力に委ねざるを得ない。したがって、経営者の「目指すもの」は社員に理解と共感、そして共有されなければ意味がない。そこが個人との違いであり、難しいところでもある。
前にも述べたが、私たちは毎月「生き残りをかけて」と題したシリーズ研修会を開いている。長い不況とデフレを乗り切り、いまも堅実に経営している現役経営者を講師に招き、そのノウハウに学ぼうという企画である。先日もさる工務店の経営者にスピーチしてもらったが、彼はけれんみなく「我が社は行列のできる工務店を目指しています」と胸を張った。
彼の会社は注文住宅の建築が7割、リフォームが3割である。社員は11名にすぎないが、3人の事務員以外はすべて大工、技術者である。営業マンは1人もいない。技術のない営業マンは、顧客のその場その場のニーズに即応できないからである。したがって技術者全員が営業マンであり、チラシも全員が手ずから配って歩く。そのチラシには「私たちの3つの約束」が書かれている。
(1)お客さまの立場に立って提案させていただきます。
(2)お客さまとの縁を大切にします。
(3)お声をかけていただくまでは訪問いたしません。
以上の3つである。この徹底して顧客サイドに立つ姿勢が信用を呼び、目下、彼の受注の8割は「顧客紹介」によるものである。ありがたいことに、お客さんがお客さんを呼んでくれます」と言って彼はスピーチを締めくくった。この記事へのコメント
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筆者紹介
野口 誠一
八起会 会長
株式会社ノグチプランニング 代表取締役
昭和5年 東京生まれ、日本大学卒業。
昭和31年 25歳で玩具メーカーを設立し、従業員5名・月商150万円でスタート。 わずか5年で従業員100人・年商12億円を売り上げるまでに成長させる。
しかし、ドルショックと放漫経営がたたり、昭和52年に倒産。自宅や工場などの全資産を処分して負債を処理し、会社を畳む。
翌53年、倒産経験者同士が助け合う倒産者の会設立を呼び掛け、『八起会』を設立。
弁護士や税理士、再起に成功した会員らが無料で電話相談に乗る『倒産110番』を開設。
再起・整理などの実務的なアドバイスや経験談を交えた人生相談を無料で奉仕している。
昭和59年 株式会社ノグチプランニングを設立し、再起をはかり、執筆活動や全国各地で講演活動を展開している。
平成28年2月18日 東京都内の病院にて逝去、享年85歳。
HP:https://yaokikai.com -
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