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ブログ・野口 誠一
第92回:倒産する人・しない人15か条 経営者としての徳の有無
2004年10月8日
「倒産する人・しない人15か条」の第15条は、「経営者としての徳の有無」である。
経営者に限らず、徳のある人は得である。誰にでも慕われるし、信頼される。困ったときには、どこからともなく支援者、協力者が現れたりもする。それが「徳は得なり」とも「徳に隣りあり」とも言われるゆえんである。
ただ、それではどうすれば徳を身につけられるか・・・となると、にわかに答えがあやしくなる。簿記もパソコンも決算書の読み方も、その気になれば誰でも身につけられる。その手の学校にも事欠かない。が、徳を身につける学校はどこにもない。
私もよく講演やセミナーなどで「徳のある経営者になりましょう」と強調するが、その方法にまで言及することはない。徳はある程度は生得のものであり、足らざるところは各人各様の方法で身につけるしかないからである。が、質問されればそのヒントとして「私淑」と「倫理観」を挙げることにしている。
私淑とは、ひらたく言えば師匠をつくることである。現実に、あるいは身近にいなければ、ナポレオンでも渋沢栄一でもかまわない。「私に淑し」として彼らの生き方、在り方に学ぶことである。学ぶとは「まねぶ」こと、すなわち「真似る」ことである。そこまで徹底しないと私淑とは言えない。
もう1つ、倫理観も重要なファクターである。 ノブレス・オブリージュという言葉があるが、これは地位ある者や社会的リーダーに高い倫理観が求められる、という意味である。企業が社会の公器である以上、経営者は当然のことながらノブレス・オブリージュである。そのことを忘れて私利私欲に走れば、三菱自動車や西武グループ、三井物産のような運命をたどるしかない。企業不祥事の原因は不心得社員にあるのではなく、経営者の倫理観の欠如にあるといえる。この記事へのコメント
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筆者紹介
野口 誠一
八起会 会長
株式会社ノグチプランニング 代表取締役
昭和5年 東京生まれ、日本大学卒業。
昭和31年 25歳で玩具メーカーを設立し、従業員5名・月商150万円でスタート。 わずか5年で従業員100人・年商12億円を売り上げるまでに成長させる。
しかし、ドルショックと放漫経営がたたり、昭和52年に倒産。自宅や工場などの全資産を処分して負債を処理し、会社を畳む。
翌53年、倒産経験者同士が助け合う倒産者の会設立を呼び掛け、『八起会』を設立。
弁護士や税理士、再起に成功した会員らが無料で電話相談に乗る『倒産110番』を開設。
再起・整理などの実務的なアドバイスや経験談を交えた人生相談を無料で奉仕している。
昭和59年 株式会社ノグチプランニングを設立し、再起をはかり、執筆活動や全国各地で講演活動を展開している。
平成28年2月18日 東京都内の病院にて逝去、享年85歳。
HP:https://yaokikai.com -
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