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ブログ・野口 誠一
第98回:失敗しないための戒め15か条 得意先はイザとなると過酷なものと知れ
2004年10月26日
「失敗しないための戒め15か条」の第4条は、「得意先はイザとなると過酷なものと知れ」である。
中小企業が「うちは大手と取引しているから大丈夫」と安心していられたのは、ひと昔前の話である。バブル崩壊後の経済構造改革で、系列やメーンバンク制が崩れ、いまや「寄らば大樹の蔭」は通用しない。ある程度利益を度外視しても親会社、子会社、孫会社、下請け会社が一体となって共存し得た護送船団の時代は決定的に過ぎた。利益優先、株主優先の時代となったいま、大手といえどもコスト削減は至上命題である。すでに資材や原材料の調達はグループ、系列をとび越え、安いところ安いところへと移行している。
一方、銀行も同様である。かつては不要なカネまで押しつけて貸したのに、バブルがはじけるや手の平を返して貸し渋り、貸しはがしに走ったことは記憶に新しい。いくら預金だ、定期だ、積み立てだと協力しても、イザとなると金融機関は過酷である。が、それを恨んでも仕方ない。潰れるはずのなかった銀行自体が潰れる時代なのだから。
かくして中小企業の経営環境は大きく変わった。もはや銀行も取引先も頼れない時代に入ったのである。が、この変化はチャンスの到来でもあろう。大手企業がグループや系列を越えて資材、半製品などを外部に求めはじめたということは、多くの中小企業にとってビジネスチャンスの拡大につながるはずである。とすれば、中小企業としては同業他社より安い製品、良質の製品、できれば独創的な製品を開発すればいい。それをインターネットで情報発信すれば、買い手は世界中からやってくる。
いまや得意先はインターネットの中にあり、営業マンもセールスマンも不要になりつつある。こうした変化に対応できない中小企業に明日はない。この記事へのコメント
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筆者紹介
野口 誠一
八起会 会長
株式会社ノグチプランニング 代表取締役
昭和5年 東京生まれ、日本大学卒業。
昭和31年 25歳で玩具メーカーを設立し、従業員5名・月商150万円でスタート。 わずか5年で従業員100人・年商12億円を売り上げるまでに成長させる。
しかし、ドルショックと放漫経営がたたり、昭和52年に倒産。自宅や工場などの全資産を処分して負債を処理し、会社を畳む。
翌53年、倒産経験者同士が助け合う倒産者の会設立を呼び掛け、『八起会』を設立。
弁護士や税理士、再起に成功した会員らが無料で電話相談に乗る『倒産110番』を開設。
再起・整理などの実務的なアドバイスや経験談を交えた人生相談を無料で奉仕している。
昭和59年 株式会社ノグチプランニングを設立し、再起をはかり、執筆活動や全国各地で講演活動を展開している。
平成28年2月18日 東京都内の病院にて逝去、享年85歳。
HP:https://yaokikai.com -
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