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ブログ・野口 誠一
第99回:失敗しないための戒め15か条 販売先より仕入れ先を大事にすべし
2004年10月29日
「失敗しないための戒め15か条」の第5条は、「販売先より仕入先を大事にすべし」である。
日本には親会社─子会社─協力会社、元請け会社─下請け会社といった序列があり、ともすれば上が下に「仕事を与えている」「食わせている」という感覚がある。それと同じで中小企業の場合も、お金を「いただく」得意先は大事にするが、逆に「支払う」仕入先は軽く扱うという悪しき傾向がある。が、それは明らかに間違いである。上が下を食わせているのでもなければ、得意先だけが中小企業を支えているわけでもない。
大企業であれ中小企業であれ、その利益と存続を保証してくれるのは消費者である。消費者の支持がなければ、親会社も下請け会社もひとたまりもない。つまり、最終的にお金を「いただく」得意先は消費者にほかならないということである。
そこに「顧客満足」とか「顧客第一」の本義があるのだが、それが単なる社是やスローガンにとどまっているところに、日本のいびつな企業風土がある。上が下を侮り、下が上にへつらうような風土のなかでは、真の「得意先」たる消費者の存在が脱落してしまう。そのことは雪印食品の不祥事、東海村の原子力事故などが如実に証明している。
誰のための事業なのか、何のための事業か。そのことを忘れたとき、企業の不祥事が起きる。最終的に企業価値を決めるのは、消費者であることを忘れてはなるまい。
八起会会員企業の中には、尊敬できる人や信用できる企業の紹介がない限り、いっさい仕事を引き受けないという印刷会社もあれば、元請け会社の理不尽な発注は断固として断るという住宅関連会社もある。どうしてか。彼らの視野にあるのは最終顧客である消費者の利益であり、その利益のために協力してくれる仕入先や協力先であって、親会社や元請け会社の意向や利益などではないからである。この記事へのコメント
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筆者紹介
野口 誠一
八起会 会長
株式会社ノグチプランニング 代表取締役
昭和5年 東京生まれ、日本大学卒業。
昭和31年 25歳で玩具メーカーを設立し、従業員5名・月商150万円でスタート。 わずか5年で従業員100人・年商12億円を売り上げるまでに成長させる。
しかし、ドルショックと放漫経営がたたり、昭和52年に倒産。自宅や工場などの全資産を処分して負債を処理し、会社を畳む。
翌53年、倒産経験者同士が助け合う倒産者の会設立を呼び掛け、『八起会』を設立。
弁護士や税理士、再起に成功した会員らが無料で電話相談に乗る『倒産110番』を開設。
再起・整理などの実務的なアドバイスや経験談を交えた人生相談を無料で奉仕している。
昭和59年 株式会社ノグチプランニングを設立し、再起をはかり、執筆活動や全国各地で講演活動を展開している。
平成28年2月18日 東京都内の病院にて逝去、享年85歳。
HP:https://yaokikai.com -
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