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  • ブログ・鈴木 邦成

    第105回:東欧物流の現状と課題

    2006年11月12日

     
     
     

     欧州統合の流れの中で、東西欧州間の物流が重要になってきている。しかし、現状では東欧物流には少なくとも、次の4つの大きな課題がある。
     第1の課題は「東欧諸国の物流の諸規制をいかに緩和していくか」ということである。東欧諸国は概して中央集権による国家規制が徹底されている。国有企業も多く、西欧の私企業とのアライアンス(戦略的提携)などに難色を示すケースも多い。しかし東西欧州で物流の規制水準が異なれば、スムーズな「モノの流れ」は不可能となることは言うまでもない。


     第2の課題は物流インフラである。例えば、西欧にはハブ空港、ハブ港湾が複数ある。道路輸送や鉄道輸送、あるいは西欧間の複合一貫輸送にも死角は見当たらない。だが東欧にはハブ空港やハブ港湾と呼べるものが存在しない。日米・東欧間などの輸出入物流はオランダのスキポール空港やロッテルダム港などを経由しなければ、円滑に機能させることは不可能である。
     第3の課題は輸送の安全性である。東欧には民主化の過程で生じた分断国家や紛争地帯も多く、それが東西欧州間の輸送の大きなリスクとなっている。特にトラック輸送では、紛争などのために安全なルートの確保が不可能な地域もある。
     そして第4の課題は「国内流通・物流システムの未成熟」である。例えば、多くの東欧諸国には近代的な巨大スーパーマーケットが、ほとんど存在しない。伝統的小売店やフリーマーケットなどが流通業の中心となっている。最新のロジスティクス・システムを導入したくともIT(情報技術)インフラもSCMインフラも、まだ十分に整っていないのである。

     
     
     
     

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  • 筆者紹介

    鈴木 邦成

    物流エコノミスト・日本大学教授
    国際政治経済、国際文化に関する造詣が深く、記事・論文・著作多数。
    欧米諸国の地域経済統合の流れを、物流・ロジスティクスの観点から追求している。
    国際物流に関するセミナーやロジスティクスに関する講演会での講師歴は多数。

     
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