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製品・IT
酪農学園大学 講義に「RaLC」導入
2013年10月22日
物流の最前線で活躍するソフトウェアが、大学の講義でも活用されている。酪農学園大学(北海道江別市)食品流通学科の尾碕亨教授は、今年度から学部生の講義にシーイーシー(東京都渋谷区)の3D物流シミュレーションソフト「RaLC」を導入した。前後期合わせて約50人の学生に仮想の物流センターを作らせ、現場の仕組みや物流の生産性などを学んでもらう狙い。大学の講義で同ソフトが使われるのは、日本で初めて。
尾碕教授は食品物流を専門に研究しており、近年はリユース容器を活用した青果物の物流コスト低減の研究を進めている。道内で昨年開かれたビジネス展示会に出展していた物流システム企業のソルブブレイン(札幌市白石区)からRaLCの紹介を受け、講義への導入を思いついた。
販売代理店ミツイワ(東京都渋谷区)の協力のもと講義用のテキストを作成し、前期の「食品流通実験実習」から活用を始めた。全15回のカリキュラムのうち、実際に物流センターの視察を行い、その後4回をRaLCによる「物流シミュレーション」に充てた。講義で学生が使ったのは、販売促進用のプレゼンを想定した簡易バージョンの「RaLCPre」。
尾碕教授は「学生には毎年、物流の現場を見てもらうが、いつも一度見るだけで終わっていた」と振り返る。今年度からは、現場を見た後に学生一人ひとりが物流センターをPC上で作り、生産性の向上やコストの低減などの施策を検証した。これにより「物流機器や人の配置・動き方など普段見られないことや、知らないことを学生も理解することができた。秒単位でセンター内の動きを確認でき、現場に近いシミュレーションができる。我々研究者にとっても有用」と絶賛する。
学生は「ゲーム感覚」で物流センターを作っていくという。講義終了のチャイムがなっても作業をやめずに帰らない学生が多く、「普通は講義中に寝てしまう者も出てくるが、RaLCを使った講義では一人もいなかった。私も助かった」と笑う。
非常に好評だったため、来年度は物流シミュレーションを前後期各10回程度にまで大幅に増やし、学生の受け入れも倍増させる予定。再来年度には物流シミュレーションを「独立した課目」へと昇格させたい考えだ。
主に企業を対象として、RaLCの習熟度に応じた「認定技術者制度」が設けられているが、「学生版を用意してほしい。講義を通じて認定を取れれば、学生も就職に使える可能性があるので、習熟度を高める効果がある」と要望している。大手物流企業からも「このようなシステムを使える即戦力の人材が欲しい。企業としてもプラスになる」との反応が来ているという。
ソルブブレインの岡本拓弥氏は「RaLCは物流の現場のイメージをリアルに感じてもらえるソフト。物流システムの新しい活用方法となり、今後の可能性を感じている」と話している。
◎関連リンク→ RaLC -
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