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    フルタイムシステムの宅配ロッカー こだわりは「1回で届く」こと

    2015年7月7日

     
     
     

     EC商取引の普及に伴い宅配ニーズが加速し、宅配事業者の取り扱い個数は、2009年から2013年の5年間で13%増加している。利用者には利便性が高く、時間指定などのきめ細やかなサービスが受け入れられたが、受け取り人不在で再配達を余儀なくされるなど、人材不足にあえぐ物流業界にとって大きな課題となっている。このような悩みを解消する方法として、フルタイムシステム(原幸一郎社長、東京都千代田区)の提供する「宅配ロッカー」が注目を浴びている。
     同社は32年前に世界で初めて宅配ボックスをつくり、現在は約2万3000か所の集合住宅に設置され、140万世帯の利用登録がある。操作方法はシンプルで、音声案内に従いタッチパネルで届け先の部屋番号を入力し、ボックスを選択する。荷物を入れて閉めた後、伝票および配送状を専用の挿入口に差し込み捺印。これを居住者の郵便受けに入れ、預け入れ完了となる。受け取り時は、ICカードや磁気カード、暗証番号などのIDで簡単に取り出すことができる。


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     「宅配ロッカーの要はオペレーション」と原周平副社長。FTSコントロールセンターは60人体制で、24時間365日間対応できる。専用回線で現地とつながっているため、リアルタイムで荷物の状況がわかる。同センターがログ管理を行うことで、IDを失くしてロッカーから荷物を取り出せない場合にも遠隔操作で開けることができる。「荷物の保障の話になると、弱い立場の人が涙をのむことになる。ログ管理は欠かせない」と原副社長は言う。
     宅配ロッカーが注目されるようになったのは、同社の働きかけで設置された「宅配ロッカー検討委員会」での検討の結果、1994年に旧郵政省が郵便規則を改正し、無人宅配ボックスの条件が緩和された時。これを境に各集合住宅のデベロッパーが注目し、普及率が格段にアップした。
     「これからが勝負」と力を込める原副社長。12年前から、駅やコンビニの店舗にも宅配ボックスを設置している。利用者は近郊に住む人や通勤・通学などで利用する人が多い。同社の調べによると、受け取り場所で最もニーズがあるのは「自宅」、続いて「オフィス」だという。「要は、自分が一番定着している場所で受け取りたいということ。今後、利用者の利便性を考えた置き方、利用の仕方を考えていかなければならない」。
     今、企業間物流でも宅配ロッカーの活用が進んでいる。しかも導入しているのは、地場をメーンとする保有台数20~30台規模の中小物流事業者だ。荷主との関係をより強固なものにするために自社負担で導入している事例もある。「工場や店舗の稼働時間に配送時間を合わせるしかなかった事業者も、受け渡しボックスを設置すれば配達の時間帯の自由ができ、受け取りのためのアルバイトを雇う必要もない」と説明する。導入による荷主のメリットも説明できれば、物流事業者として大きなPRとなりえるだろう。原副社長も「物流事業者とともに課題を克服していきたい」と意気込む。
     「1回で荷物が届くこと」にこだわり、サービスを発案してきた同社。「配達する人がいて荷物が届いて、それを消費する人がいる。この一連の流れがスムーズでなければ、どれだけ素晴らしい技術でも意味がない」と原副社長は言い切る。消費者の意識を変え、生活習慣を変えれば、一つの商品の流通にかかわる全ての人にとって心地よい仕組みになると信じ、今後も新たなサービスを世に送り出していく。
    ◎関連リンク→ 株式会社フルタイムシステム

     
     
     
     
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