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製品・IT
格安スマホの普及 急増する相談件数、サービス内容の確認を
2017年8月15日
大手通信会社の回線を借り、割安な値段で通信サービスを提供する「格安スマホ」を利用する消費者が急速に増えている。
調査会社であるММ総研によると、独立系MVNO事業者(格安スマホを提供する事業者)がSIMカードを活用し、独自の料金プランで提供する独自サービス型SIMの回線契約数は、2016年9月末で657万5000回線となった。15年9月末時点では405万8000回線だったので、1年間で62%増加したことになる。
ドライバーとの連絡手段として、また、通信コストの削減につながるとして運送事業者の間でも格安スマホを導入する事業者も増え始めている。一方で、国民生活センターによると、格安スマホに関する相談件数が急増しているとし、「料金だけでなく、サービス内容や手続き方法も確認しましょう」と注意を促している。
国民生活センターが4月に公表した資料によると、格安スマホに関する相談は年々増加傾向にあり、2016年度は1045件で、15年度(380件)と比べて約2・8倍の相談が寄せられた。格安スマホは利用料金が比較的安価である一方、今まで契約していた携帯電話会社では無料で提供されていたサービスが有料のオプションになっている場合や、そもそも提供されていないこともあり、相談内容を見ても、「今まで通りのサービスが安く受けられると思っていたのに、実際はサービス内容などが違っていた」というトラブルが目立っている。
法人向けのMVNOサービス「Gleaner Mobile」を提供するGleaner(グリーナー、大阪市中央区)の深瀬尚也社長によると、「格安スマホはまだまだ伸びると思う。当社でも問い合わせは昨年と比べて3倍ほど増えた」と話す一方、「MVNO事業者は基本的にショップがないので、困ったときに、どこに聞きに行けばいいのか分からない。電話窓口にかけてもつながりにくい事業者もある」と課題を指摘する。
通話の問題では、「他電話回線に接続するプリフィックス方式を採用しているMVNOだと通話音質が安定しない。個人であればLINEなどIP電話で対応できるが、法人が仕事で使うものとなれば途中で通話が切れたりすると問題だ。また、通話料についても無視できない」と説明。
さらに、スマホ本体の故障は基本的には、メーカーが対応するので、修理に出している間は代替え機が必要となる。「当社では代替え機をお貸ししているが、代替え機がない会社もある」。その他、インターネットに接続するためにはAPN設定を行う必要があり、「複数台で導入するなら相当手間がかかる。業者がやってくれるのか確認すること」や、端末によっては購入したSIMカードが利用できない場合もあることなど、導入時の注意点を挙げた。
グリーナーが提供する、通話し放題プラン付きの格安SIMサービス「カケホーダイSIM」は、月額1980円から利用でき、NTTドコモなど携帯電話キャリアの平均的な電話料金(6500円=基本料金2700円+データ通信料3500円+ISP300円)と比較して、およそ70%安くなるという。1回当たり10分以内の国内通話が月300回まで無料。同社では1台1万円から携帯端末の販売を行っているが、SIMフリーの携帯端末であれば、現在使用中の端末を、そのまま使用することもできる。
同社の「カケホーダイSIM」はIP電話でもプレフィックス方式でもなく、通信キャリアが提供する通常の回線を利用するため、高い通話品質で利用できる。さらに、通信キャリアと同じ帯域を利用することで、キャリアと同等の通信速度で利用できるという。
◎関連リンク→ 株式会社Gleaner関連記事
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