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製品・IT
ラクスル 「ハコベル」のサービス強化
2017年10月25日
ラクスル(東京都品川区)が展開するネット運送・配送サービス「ハコベル」が好調だ。使いやすさの、さらなる追求をめざし、バージョンアップを繰り返している。営業からシステム改善まで幅広く業務に携わる石川瞬氏に話を聞いた。
同サービスは、荷主がパソコンやスマホから配送を依頼し、条件に合ったドライバーを選び、予約から支払いまでをサイト上で行えるというもの。運賃は距離制と時間制の2種類で、それぞれ車種や時間帯などで自動的に算出される。ドライバー側にはシステムを通してPCやスマホアプリにダイレクトで配送依頼が届く。ドライバーは仕事が入っていない時間帯を有効活用し、稼働率を高めることができる。
同社では、ユーザーからの要望が多かった「GPSトラッキング機能」を標準装備に追加。地図上にリアルタイムの車両位置情報が表示され、同社と荷主(依頼主)は、荷物の到着予想時間や残りの距離などを把握できる。
石川氏は、「これまでも位置情報は管理していたが、遅延までは検知しておらず、ドライバー側からの『遅れそうです』という自主的な連絡を待つしかなかった」と説明。「必死に間に合わせようと走っているドライバーは、ギリギリになってから連絡しがち。約束の10分前に『遅れそうです』と荷主に連絡し、『もっと早く言ってよ』となるケースが多かった」
同機能により、「到着予定の1時間前、遅くても30分前には状況が分かるため、その時点でアクションを起こせば対応しやすい」と前述のような事態は改善。同社のオペレーターも、遅延を把握した時点で荷主へ連絡する流れになっており、「荷主からも好評」という。
8月には関西でも事業をスタート。現在の登録台数は、一般貨物と軽貨物を合わせて全国で約2000台。荷主は口コミを中心に広がっており、「約1万アカウントの登録がある」
同氏は「登録台数のうち、6〜7割が軽。売り上げが3、4割アップしたというドライバーもおり、『ハコベル』の仕事だけで生計を立てられている個人事業主も出てきている」と胸を張る。「売り上げが安定しているドライバーは、荷主からのリピート依頼が入っているケースが多い」
荷主とドライバー間のやりとりをフォローするための仕組みも強化しており、運行指示書などのファイル添付、受領書のアップロードなどもWeb上で行えるようになった。「搬入許可証や手書きの地図なども簡単に見ることができ、コンビニや事務所からファクスしていた受領書もスマホからのアップロードで済む」
これらの文書類は全てWeb上での一元管理が可能。「発注から配送完了まで完結できる上、『何月何日の◎◎の運行に関する書類が必要』となれば、すぐに検索して引き出せる。これまで書類の管理や探すのにかかっていた『見えない時間とコスト』を大幅に減らすことができているはず」
9月からは、荷主に対し、運行ルートの最適化を提案するコンサルサービスも開始。同社が独自に開発したシステムを活用し、なおかつ「物流を理解している人間が、時間指定や積載に関する条件、集荷・納品にかかる時間などを詳しくヒアリング」した上で、地図上で見るだけではない、その運行に最適なルートを提案するという。「走行距離を圧倒的に短くしたり、必要な車両台数を減らしたり、現状以上のコースを提案している」
「ハコベル」のシステムについて石川氏は、「地道な改良を経て、必要な機能はほぼそろっているはず」と自信を示す。「Web上で自動的に発注でき完結するサービス。Webだからこそできるこのプラットフォームで、効率的な提案をしていきたい」と、業界へのさらなる浸透へ向け、意欲的な姿勢を見せる。
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