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ディー・エヌ・エー 交通事故削減支援サービス「ドライバーの意識改革に」
2019年8月22日
ディー・エヌ・エー(東京都渋⾕区)は、AIとIoTを活用した商用車向け交通事故削減支援サービス「DRIVE CHART(ドライブ チャート)」を提供している。車内外を写す専用車載器の映像や加速度センサー、GPSを元に、AI(画像認識技術)を用いて危険運転状況を可視化するとともにスコア化。運転特性をドライバー自身だけでなく、管理者も把握し、運転の振り返りや、運転特性に応じた指導を行うことで、交通事故削減の効果が期待できるという。
「車の安全技術の普及などにより、重傷・死亡事故は年々減少傾向にあるものの、事故発生率は横ばい。事故ゼロに向けて、さらなる取り組みが必要」と切り出すのは、スマートドライビング部の川上裕幸部長。「旧態依然とした交通をインターネットとAIで仕組みそのものからアップデートしていく」をビジョンとミッションに掲げ、同サービスを開発したという。
「管理者がドライブレコーダーの映像を全て確認するのは現実的ではなく、人の手によって危険運転の箇所を抽出することも非効率」と話す同氏。「PDCAのC(チェック)の部分をAIに代えることで、管理者の手間を省き、改善へのフィードバックを効率化できる」。
同サービスでは、ドライバーの習慣化した運転の悪い癖をレポートで提示。「本人はいつも通りの運転で、問題意識もあまり持っておらず、『口頭で言われただけでは納得できない』と感じていても、映像も含めて客観的に自身の運転を見ると、危ないと認識できることも多い。ドライバーの意識改革にもつながる」。
「急ブレーキのヒヤリハットは運よく事故になっていないだけ。急ブレーキを踏むということは、それだけで事故に限りなく近い状況」と語る同氏。「『事故を減らせ!』と言っても、ドライバーさんは『何を?どうやって?』と困惑するだけ。事故を削減するには、結果ではなく、要因に着目すべき」と話す。「ヒヤリハットや事故そのものではなく、それを招いた車間距離の不足、わき見、一時不停止といった危険運転行動や潜在リスクへの対策が必要」。
同サービスでは、高度なAIを活用することで、車間距離などを瞬時に把握。同時に、ドライバーの顔の向きや視線、目の動きなども解析する。「わき見運転かどうかは、速度や秒数など、複数の情報を掛け合わせ、慎重に抽出している。主に、『ドライバーの顔が下向きになる』『スマホや地図・書類に目を落としている』場合に検出する」と説明する。
急ブレーキや急ハンドル、速度超過など、標準値を超えると危険運転の挙動として動画が上がる仕組みだが、「たった一度超えただけでスコアをガクンと落とすことはなく、平均・傾向で判断する」という。
「実証実験では、トラックで48%の事故削減効果があり、事故による経済損失も90%削減できた」と導入の効果に自信をのぞかせる。「それでも中には、なかなか改善しないドライバーさんもいる」というが、「管理者からの指導の際に、『でもね、100点を取る人もいるんだよ』と言うと、『それなら自分にもできるはず』と気づき、その後、改善したという事例もある」と明かす。
料金体系は、機器を購入する月額利用と、機器レンタル費または月額利用の2パターン。「動画をクラウドにアップすることに特化した回線を使用することで、通信費をかなり抑えている。ほかの回線とまとめないほうがお得になるくらい」と話す。
川上部長は、「事故を減らすことは経営の大きな課題であり、社会的にも大きな意味を持つ。事故のない社会をともに目指したい」と未来を見据え、熱く語った。
◎関連リンク→ 株式会社ディー・エヌ・エー
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