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物流ニュース
「いつ区切りをつけるか」 コロナが奪った事業意欲
2020年10月7日
「いつ区切りをつけるか、そればかりを考えている」と話すのは、首都圏の運送事業者。
トラック1台からスタートし、会社を興して20年が経った。
保有するトラックは10台前後で推移。
当初はドライバーの出入りが激しく、なかなか落ち着かなかったというが、いつの頃からか人も定着し、大過なく過ごしてきた。
会社の社歴に応じて、ドライバーの平均年齢も上がり、50代も後半を迎えた同社社長の体力と気力も、徐々に減退していく。
そこへきての新型コロナウイルスによる経済活動の停滞である。
3月こそ荷は動いたが、4月以降は徐々に減り、5月、6月はこれまでにない冷え込みを味わったという。
荷が少ないということで、事業者間での競争が発生し、荷主の立場の優位性がさらに増した。
拘束時間が長い仕事に対し、拘束時間の抑制と引き換えに、運賃の値下げを実行することを荷主と交渉中だった同社だが、結局、交渉は不発に終わるどころか、安価な提案をしてきた同業他社に仕事を奪われてしまった。
荷主は、長い拘束時間の解消を図ることを諦め、現状のままで運賃が安くなる方法を選択した。
労働時間をオーバーさせなければできない仕事にもかかわらず、安価な運賃で請け負う事業者の存在に、「コロナで仕事がなくなり必死なのだろうが、秩序も何もない」と話すとともに、契約を切り替えた荷主に対し、「長きに渡り取引してきただけに、こんな形で契約を解除されることは、断腸の思い」だと憤る。
それでも、「うちで働いてくれるドライバーがいる限り、事業を続けていかないといけない」と自らを鼓舞するように話す同社長。
最後には、「このまま続けても、先行きの明るさは見通せない」とし、「借金がなくなるであろう3年後に会社を畳むことも視野に入れないといけないなあ」とこぼしていた。
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荷主の物流担当ですが、協力会社からの怒濤の値上げ要請が一斉に引きました。ただ、コロナによる一時的なものだと考えています。たしかに運賃も大事ですが、品質と信頼も重視したいと考えています。
ビジネスとは弱肉強食の世界です。