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物流ニュース
関西運輸事業協組 廃油回収で環境保全を、15社が参加
2009年5月12日
協同組合の高速割引収入が今後減少していくなか、関西運輸事業協同組合(天井啓造理事長、大阪市西区)の動きが注目されている。平成18年設立と新しいが、自動車運送取扱事業や廃油回収事業など独自に事業を展開し、取扱量を増やしている。「運送事業者が入ってよかったと、確実に便益が受けられる、組合員のための組合づくり」を目指しており、高速割引収入に頼らない組織づくりを目指している。
天井理事長
設立のきっかけは「本当に運送事業者のためになる協同組合がない」という組合員の一言。4人の発起人が集まり、同組合が設立。3年4期目を迎え組合員数は10社。小規模ながらも事業は順調で収益は右肩上がりに推移している。
まず取りかかったのは自動車運送取扱事業。「運送事業者であってならないのは車を遊ばすこと。そうならないように荷物の斡旋を」との思いから配車事業を開始。各組合員、組合員外が持つ荷物情報、空車情報を流し、中長距離輸送の合理化、車両運用の効率化に貢献している。
組合員外の事業者との取引では与信調査を万全に行ってリスクヘッジに対応。求荷・求車ネットワークシステムKITに加盟し、取扱量は年々拡大している。配車事業の成功の秘訣について吉井省三専務理事は、スタッフに対する信頼感を挙げる。「組合員の人間的にも能力的にも信頼できる部分が大きい」という。
昨年6月、臨時総会を開催。セミナーとして「運送業に明日はない」を吉井専務が講演した。当時の原油価格は1バレル130ドル手前まで急騰し、「原油の値が下がるときは世界がヘッジファンドになるとき。いずれにしろ大変な事態になる」と警告。燃料価格下落後の対策を講じる必要性を訴えていた。
廃油回収のリサイクル事業は環境保全の観点からも将来的に有望と判断し、昨年10月にスタート。組合員や組合員外の事業者がオイル交換する際の廃油を回収するもので、現在15社が参加。備え付けのドラム缶に入れた廃油を、タンクローリー車が定期的に回収していく。
回収された廃油は工場に持ち込まれ、不純物を取り除き再生重油にリサイクル。重油は工場などの燃料として再利用される。重油を販売するときの手数料が組合にキックバックされる仕組みで、こちらも取扱量は大きく増えている。
同組合は静岡県貨物運送協同組合を手本としている。組合の設立準備段階にHPを見つけて見学に赴き、現在も交流がある。吉井専務は「組合は組合員の便益にプラスになってはじめて存在意義がある。配車の取扱量、その他の取扱量も増大して初めてものが言え、そこに収益の増大が見込め、組合員に還元できる」と力説する。組合員数50社が当面の目標だ。(大塚仁記者)この記事へのコメント
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