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    古賀誠・トラック議連会長インタビュー「正常な経営を後押し」

    2009年7月1日

     
     
     

     中小トラック事業者向けの構造改善支援事業(上限100万円を補助する省エネ支援事業)の申請要件だった保有車両「30台以下」撤廃をはじめ、全ト協(中西英一郎会長)が要望してきた国の各種支援策の実現が相次いでいる。未曾有の不況だからだけではない。昨年の「燃料サーチャージ制」導入も当初、公取委は慎重姿勢を示し、どちらかといえば導入に反対だった。それを可能にしたのがトラック輸送振興議員連盟(古賀誠会長)による「政治力」だ。構造改善支援事業でも平成20年度の第1次補正予算で国費35億円(トラック協会協調分を含めると52億5000万円)、第2次補正で国費150億円の投入を実現。財布の紐が固い財務省を「口説き落とした」古賀会長に話を聴いた。


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    インタビューに応える古賀会長
    -トラック業界は、このところトラック議連に大変お世話になっている。国の政策に業界の要望が反映されるのは、議連の力に負う部分が大きいと関係者は高く評価している。
    「議連のメンバーは現在270人ほどで、政界では一大勢力となった。議連の先生方も熱心な研究グループを作ったりしてね、トラック業界が抱える問題で活発に意見を交わしている。それぞれ行政に関して専門分野を持っているので心強い」
    -トラックに対する補正予算では当初、財務省がかなり抵抗したと聞いているが。
    「すべて議連の先生方のご協力があってのこと。国交省の自動車交通局もよく動いてくれた。役所が業界の声を聞いて(具体的な政策を)いろいろ考える。これを財務省に呑ませる、財源をきちんと確保するのがわれわれの仕事だ」
    「金を出す側、つまり財務省に納得してもらわないといけない。その肉付けは国交省の仕事で、どれだけ説明できる法律にしていくかということになる。財務省と国交省が同じテーブルでやりとりする。そこでわれわれが『言うことを聞け』と(笑)。財務省では『古賀さん、もうトラック議連の会長を辞めてもらえませんか』と言ってるよ(笑)」
    会長は政治家としては「党人派」になる?
    「僕は典型的な党人派だ。だから官庁に対するしがらみが一切ない。『官僚派』はね、理屈や政策をつくるのは立派だが、腕力が足りないかもね(笑)。腕力が足りないというより、やはり政治家は官僚に振り回されてはいけないと思う。信頼関係が大切だ」
    -トラック議連の会長に就任された当時、「トラックの標準運賃を作ったら議連は解散だ」と話されていたとか。
    「原油価格高騰で打ち出した『燃料サーチャージ制』も、業界の皆さんにとっては、なかなか安心できるような形にはなってないようだ。運賃の基準を法律で作ることは大変難しい。現在の過当競争をどうするか。経営コストの問題は事業者が自ら努力しないといけない。それを国が支援する形になる。運賃を国が決めるのはまず不可能なので、支援の下で健全化を目指していくことが重要だ」
    -汚染されすぎた川や沼などは自浄作用がなくなり、外部から人工的な働きが必要になる。トラックの運賃市場は、こうした危機的状況にあり、国による何らかの介入を求める意見もあるが。
    「『認可運賃制度のようなものに戻せないか』との声も一部にあるのは事実。しかし今の状況では、それもなかなか難しい。最終的にそれしかないということになればやむを得ないが、まだやらねばならないことがたくさんある」
    -具体的にどのような?
    「最低車両数が5台未満の事業者の問題、社会保険未加入問題、長時間労働問題などだ。『正しい経営』と言うと変だが、やはり企業が成り立つベースというものがある。それは本人の家庭の労働力、家族を使おうというのなら構わない。しかし少なくとも、日本の経済において重要な役割を担う物流の分野で果たして許されるのか?」
    「物流2法施行後に様々な問題がクローズアップされてきたが、トラック業界に対しては間違いなく『行き過ぎた規制緩和』がなされたと思う。どんな業界でも『改革』は必要。日進月歩の業界では日々改革の嵐が吹いている。だが、規制緩和という改革には必ず『光と影』がある。この影の部分に対するきめ細かな配慮がなさ過ぎた」
    -全ト協も今年度の事業計画の中で、「行き過ぎた規制緩和の見直し」を重要事項に掲げているが。
    「行き過ぎた規制緩和を『正常な経営』のためにも見直すべきだろう。実際、あまりにも過当競争が目立つ。もう少し、業界の方々が安心できるようなルールを作っていきたい。『新規参入など、しばらく認めない』ぐらいのきちっとした英断を振るっていかないといけない」
    -トラックに対する次の支援策は?
    「早急に取り組みたいのは高速料金引き下げ問題。物流事業者向けの割引は実現したが、もう少し配慮が必要だ。『100kmで3割引』などで運用上の問題も発生している。もっと事業者が『安心できて、分かりやすい』引き下げでなくてはならない。乗用車の土日祝日1000円も営業トラックが混雑で迷惑している。生鮮食料品輸送が荷主の要望する時間に間に合わないなどの被害も出始めたという」
    「『夏休み中にやれ』なんて意見もあるが、喜んでもらえるところと迷惑するところが出てきた。きちんと両面を見て議論してもらわないと困る。また、高速料金引き下げで大手は恩恵を受けているが、ほとんど高速を利用しないという中小事業者も多い。この辺をどうするか。これも大きな課題だ」
    -トラック業界は、ほとんど中小事業者だが。
    「確かに中小・零細企業の多い産業であるため、業界全体への支援策も必要であると同時に、中小に特化した支援策が重要になる。多くの事業者は荷主の言われるままで逆らえず、技術は大体一緒、輸配送にかかる時間も同じといった特徴を持つ業界だ」
    「一般論で言えば、例えば建築業のように『こういう技術はうちにしかない』というものがない業界なので、運賃・料金による不当競争が起こりやすい。だから一般の中小向けとは違った支援策が必要になってくると思う。全ト協は健全な業界育成に向け、これからも積極的に政策提言をしてほしい。われわれはそれを真摯に、しっかりと受け止めて行政に反映させていく」

     
     
     
     

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