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    「公益」議論と暫定税率撤廃…問われるトラック協会のあり方

    2009年9月16日

     
     
     

     暫定税率をはじめ自動車関連諸税の来年度以降の見直しが焦点となるなか、トラック協会のあり方が問われている。公益法人としてこれまで以上に「公益」の中身に客観性を持たせなければならないとする意見がある一方、業界内の「共益」を確かなものにすることが先決との声も聞かれる。公益法人制度の改革と暫定税率の全廃がもつれ合い、糸口が見つけられないでいる姿がある。


      衆議院総選挙投票の翌日にあたる8月31日。ある地方ト協の専務理事は「どうしたらいいのか」と口にした。暫定税率全廃を公約に掲げた民主党が圧勝したことを巡る会話の冒頭だ。
     同氏は33年前の76年、15円の軽油引取税本則税率に4.5円の暫定税率が設けられた経緯に触れた。当時の運輸省と自治省が通達を出したことが、「運輸事業振興助成補助金(交付金)」創設の根拠としながら、「それしかない」と述べ、補助金の法的根拠の希薄さに言及した。
     そう答えざるをえなかったのは、事業者が許可基準に基づいて運営されているかを指導して回る「適正化事業」の支出に、補助金が用いられている根拠を問われたからだ。適正化事業そのものは事業法上に規定のある事業だが、ト協がそれを受託し、かつ補助金を原資に活動することを定めた規定はどこにもない。このト協が適正化事業に用いる事業費は2億円弱で、補助金全体の3割に及ぶ。
     補助金と適正化事業費を分けて考える必要がある──同氏はそう考える。暫定税率の全廃で補助金も廃止されれば、補助金依存体質のト協活動は根幹から見直さねばならない。せめて適正化事業費分だけでも公費が下りてくるよう、適正化事業の「受託費用」を新設する必要性だ。パッケージ化されていても誰も疑わなかった両者の関係を明確に分け、根拠を「明確化」するというものだ。
 公益法人改革もこうした明確化の伏線にある。ト協のある理事は、「役所がうたう公益でない視点が、公益法人改革ですでに求められてきた。政権が変わり補助金の位置付けがゆれる中、公益性の視点改革が必要だ」と話す。
     もっとも、「公益」が独り歩きするようなこうした議論には、一般の協会員から疑問の声が上がる。ある運送事業者は「補助金がなくなれば会費を上げてもらってもいい。その代わり、これまで役所ばかり見ていたト協の体制を改め、事業者の利益となるよう活動して欲しい」と話す。公益と私益の境界線上にある、「共益」の増進だ。
     しかし、あるト協専務理事は「公益法人改革の中で、共益活動は大きく制約される」と見る。これまでのト協がどの立ち位置に居り、これからはどのような組織になるべきかの議論が必要になる。

     
     
     
     

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