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    罰則強化で末端にしわ寄せ 法令違反は下請けに

    2009年12月29日

     
     
     

     過労運転や飲酒運転、社会保険未加入などの法令違反に対して罰則強化が図られている。経済的規制を緩和し、社会的規制を強化するという行政の方針は、悪質業者の市場からの撤退を促し、公平な市場を形成することが目的だ。
     しかし、法令を順守しない経営は成り立たないとの認識が業界内で広がる一方、罰則強化の影響が末端の下請け業者へしわ寄せされている実情もあり、いたずらに罰則を強化するのではなく、指導体制や監査体制の見直しも含め、対策が求められている。


     埼玉県のある運送会社は、「法令順守は理解しているが、うちではまず無理。不況の影響もなくはないが、罰則の強化以前よりも、仕事はきつく、労働時間も長くなっている」ともらす。
     同社は自動車部品の輸送がメーンで、仕事はすべて大手物流会社の下請けだ。規制強化前は仕事内容に偏りもなく、「決して経営が楽というわけではないが、無難にこなせていた」という。しかし、罰則強化で法令順守が当たり前といわれる時代になって、「風向きが変わってきた」と同社社長は指摘する。
     同社長によると、大手は法令違反になるような仕事はすべて下請けに任せる体制を敷く、ということだ。もともと下請けに回ってくる仕事は、荷主が法令違反を起こさないために回してきた仕事である。
     「大手が法令を守れないとした仕事を、我々協力会社が法令を守ってこなすことは不可能に近い」と同社長はこぼす。
     同社は、労働時間の基準をオーバーするような配車を余儀なくされており、「監査が入ったら、甘んじて処分を受けるしかない」と開き直りの姿勢だ。「ほかに回すと言われればやらざるを得ない。違反など、誰も好きでやっているわけではないのに」と悔しさをあらわにして、「大手物流企業には、自社は法律を守るが下請けが違反をしても構わないという姿勢がありありと見える。大手としての責任感など毛頭ない」と指摘する。
     法律を守りたくても守れない現状にある同社は、まさに「まな板の鯉」と同社長はこぼす。強者の論理で言えば、法律を守れない仕事などやらなければいいが、簡単に割り切れる問題ではない。
     9割以上が中小・零細企業であるトラック業界は、すでに下請け構造が定着している。それだけに下請け仕事がメーンの事業者は数多く、「嫌ならやめればいい」は通用しにくい。
     公平な市場を作るための社会的規制の強化に誰も反対はしない。その進め方が問題だといえる。大手の法令順守が、下請け事業者の犠牲の上に成り立ち、下請け事業者の違反を容認しているのであれば本末転倒だ。そうした状況では、末端の下請け事業者が交代するだけで、まさにトカゲの尻尾切りである。
     元請けになりうる大手や中堅事業者が、下請けに違反させないよう指導することも重要な取り組みだ。そこにメスをいれなければ、業界は決して末端まで改善されないのかもしれない。

     
     
     
     

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