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物流ニュース
経産省資源エネルギー庁 エネルギー使用量算定方法を精緻化
2022年3月10日
経産省資源エネルギー庁は、現状の実態を踏まえてエネルギー使用量の算定方法の精緻化を実施。「燃料法」「燃費法」「改良トンキロ法」の算定方法のうち、改良トンキロ法を見直し、4月1日からの施行に向け、パブリックコメントを行っている。トンキロ法による算定は、燃費の向上が評価できないほか、見直し積載率を用いると、積載率も評価できないことから、新たな算定方式が必要としている。
1979年に制定された省エネ法では、工場等の設置者、輸送事業者・荷主に対し、省エネ取り組みの目安となる判断基準を示すとともに、一定規模以上の事業者にはエネルギーの使用状況等を報告させ、取り組みが不十分な場合には指導・助言や合理化計画の作成指示等が行われることになっている。
05年のエネルギーの使用の合理化等に関する改正省エネ法において、運輸部門の省エネ取り組みを強化するため、荷主と貨物輸送事業者が新たに省エネ法の対象となり、一定規模以上の輸送事業者及び荷主に対し、中長期計画の作成とエネルギー消費効率の年1%改善が目標となった。
荷主が貨物輸送事業者に行わせた貨物輸送のエネルギー使用量の算定方法は、「燃料法」「燃費法」「改良トンキロ法」の3つで、そのうちトンキロ法の使用が大半を占めている。
トラックの燃費自体は、年率大体1%向上しているという状況が確認されているため、トンキロ法や燃費法でみなし値を使ってしまうと過大に評価してしまう。トンキロ法の弱点として、向上しているトラックの燃費が評価できないということがある。
エネルギー使用量の算定精緻化に対する事業者ヒアリングの主な意見には、「燃費法はデータ収集工数の負荷の大きさが課題」「燃料法・燃費法への切り替えは定着した取り組みからの意識転換を要するため、容易ではない」「物流は委託で実施。そのため、燃費法等へのシフトは難しい」「トンキロ法で長年提出しているが、このままで良いのかという意見はある」
また、トンキロ法による取り組みの評価については、「トンキロ法は使い勝手が良い」「貨物の省エネに取り組んでいる部署が、省エネの実感を持てない」「コロナ禍で、発注が小口・多頻度化したため積載率が低下」「需要が減少している中で、これ以上配送効率を上げることは難しい」という意見が見られた。
それぞれの事業者が省エネを進めるためにはエネルギーの使用状況を把握し、その合理化を図ることが重要である。一方で、荷主は自ら直接エネルギーを使用しないため、荷主が関与する物流や輸送におけるエネルギー使用状況を適切に把握し合理化を図るためには、その算定方法の適正化を図ることが重要となる。
積載率を用いて改良トンキロ法で計算される貨物自動車のエネルギー使用量は過小評価されている可能性があるため、見なし積載率を適切に見直し、荷主がより適切にエネルギー使用状況を把握できるようにし、エネルギー消費につながる荷主の行動が適切になるよう促すことが必要としている。
このため、平均的な積載率を策定し、これよりも低い値を見なし積載率とする。具体的には、自動車輸送統計における最大積載量別の積載率の平均値から、省エネ法の特定荷主による定期報告の積載率のばらつきを考慮した値を差し引くこととする。
なお、最大積載量の区分によって利用される割合が異なるトラックとトラクタは、見なし積載率の改正案において、トラクタの値が含まれると見込まれる最大積載量の8トン以上の区分については、差を設けず各区分の平均値とするとしている。
◎関連リンク→ 経済産業省
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