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    普及しないモーダルシフト トラックの便利さに慣れ

    2012年3月27日

     
     
     

     オイルショックや労務問題で注目を浴びた「モーダルシフト」は現在、環境問題対策として取り組みが強化されている。しかし、「完全に普及した」とは言えない状況が続いている。普及しない原因はどこにあるのだろうか。また、モーダルシフトを進めるためにはどういった手段が必要だろうか。


     日本ロジスティクスシステム協会では、2009年にロジスティクス環境会議として国交省に「鉄道へのモーダルシフト促進のための要望書」を提出。その中でモーダルシフトが進まない要因として、「ボトルネックにおける線路の増設」および、JR貨物に対して「貨物列車積載率の向上や増結・増便」を求めている。
     また、国交省の「輸送分担率の推移」を見ると、昭和30年では、トンキロベースで自動車11.7、鉄道52.6、内航海運35.7だったものが、同50年には、自動車36.0、鉄道13.1、内航海運50.9。平成元年は自動車51.7、鉄道4.9、内航海運43.3になり、同21年には自動車63.9、鉄道3.9、内航海運32.0となった。数字の上では「モーダルシフトは全く進んでいない」といってもいい状況だ。
     岳南鉄道(静岡県富士市)では、1950年から製紙工場などの荷物を、ピーク時には100万t近く輸送していたが、工場縮小やトラック輸送の普及により今月で事実上の廃止となる。
     しかし、環境問題への対応から推進させている企業は多い。キヤノン(東京都大田区)では、2002年から生産拠点間の部品物流や物流センターへの製品物流について船舶・鉄道を積極的に利用。製品物流では運送事業者と共同で大型の専用コンテナを開発、鉄道輸送の使用比率向上に注力している。2010年には、ベトナムから輸入されるコンテナについて、東京港から福島県へ輸送する際、トラックから鉄道輸送に切り替えた。
     また、大手運送事業者では日本通運が「モーダルシフトとミラクルランを組み合わせた部品調達とCO2削減の達成事例」「工場間輸送における顧客の出荷量や納期に合わせたモーダルシフトを往復実車で実現した事例」を紹介している。
     佐川急便では「スーパーレールカーゴ」を導入。「車両を使わない小規模サービスセンター」「三輪自転車を活用した配送」などを実施している。ヤマト運輸でも「鉄道コンテナサービスでは、平成21年では、宅急便の定期輸送実績700t以上(1日当たり)、大型トラック70台分の実績がある」としている。
     近畿地方の自治体の担当者は「アメリカなどの広大な土地なら鉄道輸送は成り立つが、日本では鉄道への積み替えをするぐらいなら、直接トラックで運んだ方がいいと考える事業者は多い。馴染まないのではないか」と指摘する。
     また、「鉄道を利用した輸送方法の開発に取り組んではいるが、トラック事業者から見れば『荷物をとられた』と思っても仕方ない」と話すのは、東京都内のトラック運送事業者。普及させるには「消費者の意識改革が必要。ある程度の『時間のルーズさ』がなければ成立しないのではないか。今の便利さに慣れてしまっては、トラックを利用するしかない」と指摘している。

     
     
     
     

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