大阪府枚方市の運送事業者は、「求人広告だけで年間５００万円もかけているにもかかわらず、実際に採用できるのは一人か二人。採用しても長く働いてくれるケースは少ない」と語る。そうした現状を踏まえ、「求人予算を、福利厚生の設備投資に充てることを考えている」という。

同社の自社ビルの最上階には、以前の所有者が作った食堂設備がそのまま残っている。それを数百万円かけてリフォームし、専門の飲食業者と業務提携して貸し出すとともに、自社社員へ昼食を提供する計画。さらに、社員が着用した作業服を会社でクリーニングする案や、シャワールームの設置計画も。

「社員が自分の時間を有効活用できるよう計画を練っている」と説明する同社長。「食事、洗濯、入浴と、ドライバーも自宅に帰ってからやることが本当に多い。そうした負担を会社側がカバーすることで働きやすい職場になれば、求人広告を出さずとも人が集まるのではないかと考えている」と語る。

さらに、同社では、定年退職者をクリーニング係として再雇用することも検討。かつての日本企業のように終身雇用を打ち出し、ドライバーが集まりやすい環境づくりを目指すという。