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物流ニュース
「送料無料」表示見直し意見交換会 EC関連4団体が反発
2023年9月15日
通信販売等の業界で多く使われている「送料無料」表示について、「輸送にはコストがかからないという間違った考え方を植え付けることになる」とし、かねて全ト協が問題視し、その表現の変更を強く求めていたが、政府が6月に示した物流政策パッケージにこの表示の見直しを盛り込んだことを受け、消費者庁では「『送料無料』表示の見直しに関する意見交換会」を開催。同意見交換会の第5回が8月22日に、第6回が8月23日に行われ、第5回には日本郵便、第6回には日本通信販売協会の各幹部から「送料無料」表示見直しに対する意見が提示された。
日本郵便は「8割超がトラックで、2024年問題への対応は非常に重要」とする一方で、楽天グループとの連携により拡大する出荷・配送に対し推し進めている物流の効率化を解説。さらにはヤマトグループや佐川急便と連携しトラックドライバー不足緩和の取り組みを示した。
日本通信販売協会(JADMA)は「送料無料表示を見直す場合、小売業全体で取り組むことを希望する」とし、「実施する場合は大手プラットフォーマーからリアル店舗型の小売業者まで、配送サービスを含めた販売を行う業者すべてを規制対象としなければ公正な競争環境にならない」と反発。また「適切な物流コスト負担を表示する事業者にはコスト的ではなく名誉的なインセンティブを与える奨励策」を提案した。
この意見交換会は6月23日に第1回を開催、全ト協の馬渡雅敏副会長は「送料無料」という表現により「業界の地位が著しく低下し、人手不足にもつながっている」「物流を軽くみている表現。消費者の物流に対する意識を変えてほしい」と切実な状況を訴えている。
第2回は9月9日、アジアインターネット日本連盟(AICJ/会員:アマゾンジャパンやグーグル、ヤフー、カカクコム、メルカリ、リクルート等々)が、表示の見直しの目的に対し「消費者行動変容の促進か、消費者への価格転嫁の促進かを明確にし、当該目的に対して立法事実に基づく合目的的かつ効果的な対策であるか議論頂きたい」「消費者負担はないものの、実際には物流事業者に『運賃』が別途支払われている旨の十分な説明を行うことが現実的な方向性」等の意見を述べている。
10日に行われた第3回には新経済連盟が、「送料無料表示を別の表現に置き換えることは困難」とし、表示を変えることで「運賃が上がるのか?」「消費者の輸送コストへの意識が変わり、物流が軽んじられなくなる?」と疑問を提起。さらには同日開催した第4回はセーファーインターネット協会(SIA/会員:Zホールディングス、ヤフージャパン、メルカリ等々)は「『送料無料』表示を見直すことにより『運賃・料金が消費者向けの送料に適正に転嫁・反映される』ことになる根拠等を示していただきたい」等と述べた。第6回開催時点では、以降の同意見交換会の開催は未定。
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