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    「ドライバー」自衛官の再就職先に人気

    2014年6月2日

     
     
     

     「うちの会社は現在、ドライバーの約3割が元自衛官になっている」と話す西日本地区の運送事業者。採用実績を持つ関係者らの評価はさまざまだが、トラック業界にとって魅力の一つは彼らの大半が所持している自衛隊特有の運転免許。
     中型免許が創設されるまでとは違い、現在はそのままで大型トラックは運転できないものの、わずかな費用で限定解除は可能という。ドライバー不足に頭を痛めるトラック業界だが、自衛隊も平成26年度から「大幅に退職者が増える」という課題に直面しており、うまくマッチングできれば双方の悩みが一気に解決することにもなる。
     岡山市北区にある岡山地方協力本部。退職する自衛官の再就職先を援護する組織として全国の7か所に「無料職業紹介所」(自衛隊援護協会)があるが、それ以外に全国各地の部隊などでも相談を受け付けており、地域援護センターを兼ねる岡山地本もその一つ。また、「人材を探している企業は窓口へ足を運ぶだけでなく、援護協会のホームページからフォーマット化された求人票を送信することもできる」と、援護課長を務める防衛事務官の直江一吉氏。


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     自衛隊を退職する再就職希望者には、大半が20歳代で占められる「任期制自衛官」と、「若年定年制自衛官」(53~54歳で定年)がいる。2年または3年が任期となる前者の場合は3月末が期間満了となるため、再就職先に出社できるのは基本的に4月。後者は誕生日が退職日となるため、タイミングがよければ求人企業にとっては即戦力を確保できることになるが、前者に比べれば高齢化は否めない。ただ、現在のドライバー事情からいえば「まだまだ現役」といえるかもしれない。
     ドライバーの3割が自衛隊出身という前出の事業者が「ビシッとしていて印象がいい。何より真面目だ」と話す一方、「厳しい規律に身を置いた反動なのか、私生活が乱れるケースも目立った」と話す事業者もあるなど評価は分かれるが、これは自衛官に限った話ではないのも確か。それよりも、彼らの大半が所持している運転免許が魅力であることは間違いないだろう。
     自衛隊では運転教習に総重量12トンの車両を使っており、かつてはそのままで一般の大型トラックにも乗れたが、平成19年6月に登場した中型免許によって「(大型は)自衛隊車両に限る」という条件が付されたことで、実質的には中型免許を所有している格好となる。ただ、通常の普通免許が総重量5トンまでの車両しか運転できないことを考えれば、トラック業界にとって即戦力として期待することは可能だ。
     「すでに退職した同期の仲間によれば、民間の教習所などで講習を受ければ数万円の費用で限定を解除できると聞いた」と話すのは入隊7年目で、現在は3等陸曹の立場にある25歳の男性。関西地方の部隊に所属している男性によれば「体力があるという受け取り方が一般的なのか、自分の周りは工場や警備会社に就職するケースが多い気がする。もともと運転の好きな人間は多いが、ドライバーの募集は多くない」と話すが、「(ドライバーは)再就職先の人気ベスト3に入っているのではないか」としている。
     岡山地本が所属する中部方面隊(19府県)では昨年度、およそ780人の「任期制隊員」が退職し、そのうち約470人が組織の援護を受けて再就職を果たした。直江氏によれば「2年前の政権交代による防衛予算の増加で自衛官の採用枠も拡大したが、その任期が到来することで退職者も大幅に増加する見通し。今年度の任期制の退職者は約1400人と予想している」と説明。
     「中部方面隊の所属は全体の4割程度」(同氏)ということから考えると、全国では任期制だけでも3500人ほどの自衛官が再就職先を探す計算になる。企業が発信した求人票の掲示などとは別に、毎年、全国各地で合同企業説明会が開かれているが、岡山地本が実施した昨年度の同説明会には「運輸関係からは7社が参加し、5人が採用された。ホームページから求人票を出すことも可能だが、よりタイムリーな情報を得るために頻繁に訪問される企業もある」と同氏。今年の合同説明会は8月29日に開く予定という。

     
     
     
     

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