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    原価セミナーを終えて 運送事業、本音と建前

    2014年12月8日

     
     
     

     「実際にもらえるかは別にして、意識しないよりはいいに決まっている」――。10月15日に西部研修センター(兵庫県姫路市)で開かれた兵ト協の原価意識向上実務セミナー。平成24年度の基礎編と翌年度の実践編に続き、3回目の今回は現場に近い内容をドリル形式で学ぶという「実務編」だった。
     全体の数字から傭車の売り上げやコストを分離したうえで、走行距離や稼働時間、収受運賃などを踏まえながら、車両別の原価を計算するという基礎からスタート。距離および時間制運賃や傭車を使った運行、往復・積み合わせ輸送といった特性に加え、食品や重量物、引っ越しなど業態別の原価計算の方法も受講。小坂真弘氏(日本PMIコンサルティング)の指導に沿って、参加者らは持参した電卓を叩いていた。


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     セミナーに参加した会社社長は「原価の意識を持つことは大事。直荷主の仕事ばかりじゃないから、計算をするだけバカらしいという意見も理解できるし、建前の数字を見ると現実が悲しくなるばかりだが、みんなが危機感を持たないとトラック事業は変わらない」と力を込める。ただ、「これで取引先に交渉できるかといえば難しい」と、同日に配布されたテキストのページをめくり始めた。
     原価計算を踏まえた見積書の演習問題として示された「253kmの区間を6時間半(積み下ろし、休憩時間を含む)で運行させる10トン車の貸切便で、復路の運賃はもらえないが高速代などは別に1万3250円」というケース。走行1km当たりの変動費を22円、1時間当たりの固定費を3944円とし、そこに高速代などを加えたうえ、原価合計額の1割を利益として弾かれた見積もりは「4万8897円」。
     「まだ安すぎるくらい」と社長。253kmというと姫路市から広島市の距離に相当するが、「仮に走行時間や積み込み、荷下ろしが例題の通りに実行できたとしても、この計算には待機時間が考慮されていない」とし、とんでもなく長時間化している手待ちの実態を指摘。「とはいえ現実は、いまも帰り便で3万円台というバカげた運賃で取引されている話がある。まったく理解できない」と憤りを隠せない様子だ。

     
     
     
     

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