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    フェリーの休息時間 緩和に歓迎ムード

    2015年10月28日

     
     
     

     9月1日から、トラックドライバーのフェリー乗船時間が全て休息期間となった。この実現を訴えてきた北海道のトラック運送業界では、歓迎ムードが広がっている。
     本州へつなぐ道路が存在しない北海道では、道産品などの移出、生活物資などの移入は海上輸送が生命線。北海道発着の貨物輸送量の9割を海上輸送が担っている。この際、北海道〜本州を運行するドライバーがフェリーを利用すると「自動的に拘束時間が2時間プラスされる」ため、「法令を守って働く時間が削られてしまう」のが実態だった。道内では「フェリー乗船時の2時間の拘束時間」は、法令順守や輸送コストの面でネックとなっていると捉えていた事業者は少なくなかった。
     フェリーを使って本州全域に運行している道南の事業者は「本州便は行政処分が厳しくなった後でも最大拘束時間を守れないことが多かったが、2時間が休息期間になると改善基準を守れる運行がかなり出てくる。監査に怯えていたが、今回の措置によって安心できるようになった」と話す。


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     毎日フェリーを使う小樽市の事業者は「休息期間は賃金が発生しない時間のため、単純に言って『自動的に2時間分の賃金を抑えられる』ことになる。人が集まらない中、急にドライバーの手取りを減らすわけにはいかないので、当面、その分は無事故手当などに充てるが、拘束時間が減ることをドライバーに説明し、来年度をメドに給与体系を見直しにつなげたい」としている。
     長距離フェリーを活用する丸吉運輸機工(北広島市)の吉谷隆昭社長は「業務上、大きな変化はないが、こういった課題について業界が意見を出し、実際に国を動かして規制が緩和されたという事実が大きい」と捉えている。
     フェリー乗船時の拘束時間の緩和の影響は、トラック業界だけに止まらない。北ト協の伊藤昭人会長(シズナイロゴス、札幌市白石区)は「フェリー乗船時間の2時間の拘束時間が緩和されることで、宇都宮から東京までの走行時間を確保できることになる。ドライバーの安全運行だけではなく、輸送コストの低減にもつながるため北海道ブランドの産品の競争力維持・向上に対応できるようになる」と話す。物流コストの低減という面で、農水産業・食品加工業、製造業といった道内産業全般に好影響を与えることにもつながりそうだ。
     一方で、ドライバーの労働規制の緩和について千歳市の事業者は「フェリー乗船時だけではなく、乗船前の手待ち時間も含めて休息にしてくれるとありがたい。また、それを考えると物流センターでの手待ち時間はどうなのか、ともなってくる。裁判で手待ち時間は労働時間とされる判決が出たが、『ドライバーが実質的に働いていない時間』の扱いをどのように考えるのが妥当か、これを機に整理することも必要ではないか」と話している。
     全ト協が昨年12月から今年1月にかけて長距離運行を行うドライバーを対象に行ったアンケート調査では、フェリー乗船時について「業務から解放され、完全に自由に過ごしている」との回答が63.4%、「一部の時間は拘束される」との回答はわずか6.5%だった。この調査結果を見ると、今回のフェリーでの拘束時間の緩和は、実態に即した妥当な措置だったといえる。このような客観的なデータをそろえることで、ドライバーの労働環境のあり方について再度、見直しが必要な時期に来ているのではないだろうか。

     
     
     
     

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