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    大型庇の必要性 支援物資物流の強化、ネックは建ぺい率

    2015年11月2日

     
     
     

     東日本大震災を契機に、近年高まる自然災害のリスクに平時から備えようという認識が少しずつ浸透している。実際に災害現場に立った倉庫事業者は、災害時の復旧活動や支援物資物流に資する物流施設で、雨天時にも荷さばきができる大型の庇(ひさし)の必要性を訴えるが、現行の法律では十分な倉庫スペースを確保したうえでの設置は難しいとして、さらなる規制緩和を求めている。設備投資が進めば、災害時の支援物資取り扱い体制を強化できるというが、庇部分を建ぺい率に算入せず新増築することは、現実として可能なのか。
     庇設置の規制緩和については、7月23日に国交省が開いた社会資本整備審議会道路分科会基本政策部会の物流小委員会(根本敏則委員長、一橋大学大学院教授)と、交通政策審議会交通体系分科会物流部会の物流小委員会(同)の合同会議で、白石倉庫(宮城県白石市)の太宰榮一社長が、行政に対し提言した。
     支援物資の保管は倉庫内が基本だが、太宰氏は、「震災直後の倉庫内は、貨物が荷崩れした状態。まずはこれを積み直し、受け入れ態勢を整えなければ対応が遅れる」と説明する。特に、発災直後は支援物資を欲しがる避難所との引き取りニーズが多いため、庇の下に仮置き保管した方が、続々と届く支援物資をトラックから荷下ろしし、すぐに引き取り車両に詰め替えて避難所に発送することができるうえ、到着したトラックを早急に被災地外に戻すことができれば、次の支援物資到着にもつながる。


     東日本大震災で支援物資を仕分けした場所も、自衛隊が支援物資を取りに来て仕分けを行った場所も大型の荷捌き用庇の下だったという。また、県庁でもテラスにブルーシートをかけて飲料を保管し、ほかの役所でも庇の下や駐車場など屋外の雨漏れしない場所を選んで仮置きしていた。
     倉庫事業者にとって、この大型の荷捌き用庇設置のネックとなっているのが、建築基準法で定められている建ぺい率だ。現行では、軒先1㍍分を除いた部分がすべて建築面積に入るため、例えば1000坪の用地に倉庫550坪、庇50坪程度というように、収支を考えると、どうしても倉庫主体の施設建設となり、利益の薄い庇の面積は必要最低限となってしまう。そこで、倉庫面積分の60%をこれまで通り維持しつつ、軒先から20m分は延べ床面積に含めずに庇を新増築できれば、経営者の投資マインドが高まり、災害時の物流の機能強化につながるのではないかという提案だ。
     建築基準法施行令第2条第2項には、「国土交通大臣が高い開放性を有すると認めて指定する構造の建築物またはその部分」については、軒先1m部分を建築面積に算入しないと定めている。この問題を考えるにあたっては都市計画上の視点が必要になってくる。
     地方公共団体が都市像を描く際、周辺住民の意見をもとに都市計画を決定するが、建ぺい率はその都市計画に記載する必要がある。国交省の住宅局市街地建築課の担当者の説明では、「建築基準法は市街地環境を守るために規制を行うもの」という位置づけである。
     「一般的な建ぺい率60%の倉庫用地では、残りの40%の敷地が野ざらしとなっており有効活用できていない」という見方もできるが、40%のオープンスペースは「あくまで市街地の景観を保つために確保しているもので空き地ではない」という。「道路から見たとき、建ぺい率100%では、隣接した建物との圧迫感が目立ち景観を損なう。また、日照・通風・採光・緑化・防災機能確保のために必要なスペース」という。庇やカーポートなどの建物以外のオープンスペースについて、軒先1m分が緩和されているのは、建物に比べて建てづまり感がないため。ちなみに1mとしているのは、おおよそ人が通行できる程度を想定したものだ。
     同課担当者も、「営利活動をする上で、建ぺい率が高い方がよいという事業者の気持ちはわかる」としながらも、「現行の都市計画の考え方では難しい」と話している。
     支援物資を待つ人々の手元にいち早く支援物資を届けるためには、物流のプロのノウハウが必要だ。その際、他の輸送モードとの結節点として倉庫の役割は大きい。しかし、物流施設単体での施策を考える以上、取り組みは進まないだろう。物流施設は都市機能の一部と捉え、広域な観点から関係者とさらなる連携を図っていく必要がある。

     
     
     
     
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