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物流ニュース
醍醐倉庫 醍醐正明社長 ネットショップを立ち上げ
2016年9月14日
「従来の発想にとどまっていては荒波を突破できない」。今年5月末からネットショップを立ち上げ、顧客の商品が売れる仕組みを構築した醍醐倉庫(東京都大田区)の醍醐正明社長。「変化」の先を行く一手で、自社の価値を創造し、高めている。
社長に就任して16年。先代からの顧客は180度も様変わりし、取り扱いは部品から雑貨へ。ピース単位の海外商品の流通加工業務が中心となり、卸業や小売店、通販事業者との付き合いが多くなった。
なぜ今、倉庫事業者がネットショップ事業を始めるのか。「今は物流の競合の幅が広がっている。例えば運送会社が出荷業務を行ったり、コンサルやシステム会社が物流事業を始めたりしている。異業種にも目を向けなければならない」と醍醐社長は話す。競合ひしめく中で生き延びるには、「ネットショップを運営する人の気持ちを理解して初めて、お客様にとって良いサービスができるのではないか」と考え、自らの手で「売れる」ネットショップをつくろうと事業を立ち上げた。自社製品を持たないため、古物商許可を取得し、ネットショップを持たない顧客の商品を販売代行したり、売れ残り商品を買い取り、低価格で販売している。
ネットショップの名称は「DYN」(醍醐の愉快な仲間たち)で、社員公募で決めた。またDYNは、ギリシャ語で「力」の意味もあり、「ネットショップの〝力〟となりたい」という醍醐社長の願いも込められている。
社訓は「物流を通して社会に貢献する」。〝社会〟は従業員、顧客、地域を表す。年に一度開催している「バザール」は、社訓を体現したイベントの一つで、顧客にとっては在庫を一掃でき、地域の住民にとっては欲しいものが手ごろな価格で買えるため、好評を得ているそうだ。「秋になると、地域の方から『いつやるの』とお声をかけていただく。当日は開始1時間前から人が集まり、午前10時のスタート時には300人ほどの列ができている」と醍醐社長の表情もほころぶ。餅つきや抽選会、ご当地グルメの「東京大田汐焼きそば」の出店や、大田区の町工場から世界への「下町ボブスレー」の展示のほか、地元の和太鼓チームのアトラクションなども行われ、2000人が集まる盛況ぶりだ。
「環境の変化に適応していかないと生き残っていけない。常にチャレンジだと思っている。今回立ち上げるネットショップもひとつの挑戦」と話す醍醐社長。柔らかな表情の中にも強い決意を固めている。
また、醍醐社長は倉青協の創立40周年の節目に、第19代会長として運営に携わった。歴代会長から当時の話を聞き、昔から会員同士がオープンな関係にあったということに驚かされるとともに、先輩方への感謝の気持ちでいっぱいになったという。
醍醐社長の入会当初は知り合いもなく、懇親会会場の隅にぽつんと独りでいたところ、声をかけてくれた年長者がいた。「新入会員なら名刺を配って名前を売らないと」と、背中を押してくれたという。何度も顔を合わせるうちに仲間が増え、今となっては同会のイベントは皆勤だそうだ。
醍醐社長は倉青協会員について、「みんな倉庫について真面目に考えている。研修で会員の会社を訪問しても、『こんなところまで見せていいの』というところまで見せてくれる。ライバルというよりも、本当の意味での〝仲間〟」と説明する。
◎関連リンク→ 醍醐倉庫株式会社この記事へのコメント
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