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    食品輸送 「サービス限界」との声

    2016年10月28日

     
     
     

     食品輸送の現場ではこれまで、安定した稼働を武器に事業を拡大してきた事業者は少なくない。24時間365日、トラックを休めることなく効率よく動かせることができ、事業拡大にはもってこいの輸送形態といえたが現在、食品輸送にも異変が生じている。事業拡大に大きく貢献してきた24時間365日稼働が、今度は事業者の大きな負担になってきているというのだ。運賃低下に加え、人手不足がさらに深刻化しており、現場では「対応しきれない」「サービスの限界を迎えている」と危機感を募らせる事業者も出てきた。
     愛知県一宮市で食品を扱う運送事業者は「昔から、この業態では365日仕事が途切れることはなかった」と指摘する。以前は安定して仕事を取れるという旨味もあったというが、「人手不足の現状ではオーダーをこなすことが精いっぱいで、旨味がなくなってきている」と365日稼働の窮状を明かす。運賃や労働内容に関しても「往復に近い運賃だった時代もあるが、今は低い運賃に落ち着いてしまった」とし、「その上、積み下ろしに体力仕事が絡んでくることもあり、なり手は少ない」とこぼす。荷待ち時間もチルド以外は長いと言わざるをえないようで、冷凍食品などは1件終わらせるのに5〜6時間費やすケースもあるという。「これでは新規で人材を獲得するのは難しい」と、まさにお手上げ状態だ。
     さらに、食品輸送では店舗の開店時間などの関係上、時間指定がスーパー開店前の早朝やコンビニの空き時間となる深夜など、一部の時間帯に集中してしまう。また、店舗からの注文を受け、およそ12時間以内には配達というケースもあり、時間的な余裕のなさから配送ルートの効率化も困難だと指摘する。こうした環境が、人手不足と労働環境の悪化に拍車をかけているというのだ。


     同事業者は「1台で可能な量、ルートには限界がある。協力会社とも情報交換をし、貨物を分け合うなど可能な限りの効率化を図って、荷台はほぼ満杯に近い」というが、「しかし、それでも十分ではない」と吐露する。
     さらに、「荷主も、こうした事情を理解してくれる所ばかりではない。必要な車両が1台増えた分の運賃を回収できないケースもあり、一方的であれば断る時もある」と荷主の理解不足を指摘するが、中には付き合いのある元請けからの要請で断れない場合もあり、「理不尽な依頼による負担は大きい」と訴える。
     名古屋市の食品輸送を手がけている運送会社社長も、食品輸送の現状に警鐘を鳴らしている。
     同社社長は「配送を請け負う事業者が不足している。荷主も低品質なのに目をつむって依頼するケースが少なくない。車両の整備に手抜きがあったり、事故を起こしても出禁にならないケースさえある」とし、現状を「運賃が上がらず、人手も集まらず、品質は低下し、さらに運賃が下がる。負のスパイラルだ」と評している。
     また、人材不足下での365日稼働について「人手が少ない中でも対応できるように環境を改善する必要がある。荷主とも運賃のみではなく、双方の協力で輸送の効率化を図り、輸送量の増加につなげるという体制を作り上げる必要がある」と力説する。
     こうした厳しい環境から、サービスの限界を感じ取り、24時間365日稼働の店舗配送事業とは別の領域に目を向ける事業者も出てきた。
     同市の別の運送事業者は、長年手がけてきた食品の店舗配送での事業拡大を一時停止し、運賃単価が高く、365日対応から離れた他の貨物の運送を展開していくことを検討中だという。理由は、「仕事柄、協力会社の確保も困難。これ以上注文を増やしても対応できないのであれば、生き残るために他の分野で新規開拓をしていくことも検討しなければならない」と話している。
     こうした現場の実態は、食品メーカーやコンビニなど荷主は理解しているのか。運送事業者とともに運送面での効率化、負担軽減についての取り組みを行っていないかについて荷主に質問したところ、「そういった分野は全て外注先に任せている」「注文通りに仕事をこなす努力は当たり前。物流面での特別な取り組みはない」という回答があり、元請けへの丸投げ、運送現場への無理解を伺わせている。今のままでは、24時間365日稼働という従来の食品輸送サービスを続けられないという事業者が、さらに出てくることが懸念される。

     
     
     
     
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