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物流ニュース
自腹で補償する事業者 労災申請すると監査?
2017年7月7日
減少しているとされるトラック運送業の労働災害だが、平ボディー車両では荷物の固定や積み込み時の転落事故が報告されている。労災保険に加入していれば保険で補償されるが、労基署の立ち入り調査を受けるとして、労災保険を使わずに会社側が労災者を補償するケースもあるようだ。
大阪府で鋼材や機械をトレーラなどで輸送する運送A社では今春、ドライバーが荷物の積み込み時に荷台から転落して肋骨を骨折、全治2か月の重傷を負った。荷台でバールを使って荷物のズレを調整していた際の出来事だった。
A社では2年前にも荷物の積み込み時にドライバーが荷台から転落、腕の骨を折る重傷を負ったことがある。その際は労災保険を適用した。その後、労基署から立ち入り調査を受け、複数の違反が確認されたため運輸支局に連絡が入り、監査が実施されて行政処分となり、車両3台を30日間使用停止される処分を受けたことから、同社では今回の労災では労災保険を使わず、ドライバーの治療費と2か月間の給与などを補償したという。
A社社長は「違反がないよう注意はしているものの、やはりゼロとはいかない。そういったことを考えれば、ドライバーが納得するなら治療費を負担すれば、処分につながらない」と話し、労災保険を掛けていても使わないという。
大阪府で鋼材などを輸送する運送B社でも、「ドライバーが鋼材の積み込み時に目測を誤って荷台から転落。足を複雑骨折した。その後、ドライバーは「迷惑がかかる」として退職したものの、同社は治療費と給与を補償。同社も過去に労災保険を適用した際、労基署からの立ち入り調査と運輸支局の監査で大きな行政処分を受けたことがあるという。同社では「労災保険を使えば必ず、運輸支局の監査につながるため、簡単には使えない」と漏らす。労災保険を使わないという運送事業者は少なくない。労災イコール立ち入り調査、行政処分を考えるようだ。この記事へのコメント
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