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物流ニュース
逆走車対策と社員教育 周囲確認し路肩に避難を
2017年8月2日
気象庁は本年度の梅雨明け予想を7月中旬過ぎとしている。夏の行楽シーズン真っ只中でもあることから、高速道路の利用者もさらに増加が予想される。併せて交通事故に関係するトラブルが増加する可能性も否めず、高速道路の利用頻度の高い運送事業者も必然的に対応を求められることになる。今回は、そんな高速道路事故の、近年増加している逆走車による事故への対策を専門家に聞いた。
愛知県警に、逆走車を確認した時の対応を聞くと「周囲を確認した後に路肩(左端)へ避難し、#9910か110番へ通報を」と答えがあった。また、逆走車の存在を電光掲示板などで確認できた場合については「逆走車は、追い越し車線を対向車線と勘違いして逆走してくることが多いため、巡行車は走行車線を走行していると事故に遭いにくくなり、路肩に避難しやすくなる。速度を落とし、車間距離を十分に保ち、前方に注意して運転をしてほしい」としている。また、「SAやPAが近ければ、避難することも有効。逆走車に遭遇してしまった際はハザードランプで後方車、逆走車共に注意喚起を」と教えてくれた。
このような路肩への避難といった回避策は東海北陸道のような片側1車線の道路でも、同様な呼びかけが行われている。岐阜県警の高速隊にも東海北陸自動車道のような高速道路を例に、逆走車や逆走車の存在を確認した際の対応について問い合わせたところ、「基本的には速度を落とし、走行車線を走行し、遭遇時は路肩へ避けていただきたい。近くのPAやSAに避難することも有効」と答えがあった。併せて、特車の通行許可を高速道路のみで得ていた場合にICから一般道へ避難するといったことは問題ないかと質問したところ、「緊急避難に該当する場合であれば、過失を問われる可能性は少ないのでは」と教えてくれた。緊急避難に該当するケースに関しては「ケースバイケースとしかお答えできない。さすがに目前に迫ってきている状況であれば該当するのでは」との答えだった。
なお、逆走車と事故になった場合の過失については、こちらも愛知県警から「事故の状況により、過失が認められる場合と認められない場合がある」との回答があった。愛知県警担当者は「中央分離帯などの工作物で上下線が分離されていることの多い高速道路では、対向車がいないといった固定概念にとらわれがち。しかし、事故は、あり得ないことで起こるので『もしかして』という気持ちをもって運転することが大切」と呼びかけている。
逆走車に関し、事故防止の講師として全国で活躍中の長森紀紘交通安全アドバイザー(日本交通事故鑑識研究所)は、福井地裁で平成27年に判決が出された「センターラインをはみ出してきた車との衝突事故で、衝突された側にも過失と損害賠償が認められた事故事例」を「これも逆走車の事例の一つ」としながら、「裁判では、もらい事故の形で、逆走車と衝突する事故があったとしても、衝突された側が過失なしと認められるとは限らない。逆走車が来るかもしれないとドライバーが考え、運転するような教育が必要となる」とし、「逆走車が来たとしても、警告を出すといった対応はできる。逆走車が来たのであれば、必要な措置を行い、目撃者も確保し、裁判に臨むといったことが必要になる」と指摘する。
同氏は安全運転義務(あらゆる状況を想定しつつ運転し、相手方に危害を及ぼさない運転をしなければならない)を重要項目として挙げ、「漫然とした運転」を防ぐための教育の必要性を説いており、「一歩間違えれば大変な事故になるトラックだが、事故を起こさないでいると、つい危険につながる行動をしても運良く事故につながらないでいると、その体験を覚えてしまい、そうした行動をしても大丈夫と思ってしまう。その油断が、いつか大事故を起こしてしまう」と警告している。
こうした状態をリセットする教育として同氏は、外部講師によるドライブレコーダーなど映像を活用した研修の有用性を説いている。同氏は「社外の講師であれば、ドライバーも新鮮味を感じる。そうした時に事故映像などを交えた研修ができると、ドライバーも頭を整理しやすくて効果的」と指摘。「私の研修でも受講者から、トラックを運転することの危険性を再確認できたという言葉を聞くことがある」と同氏は外部講師の、そして映像を交えた安全研修の効果を説いている。この記事へのコメント
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