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物流ニュース
高速道でドライバー交代 試行錯誤続く運送現場
2017年11月7日
1日当たりの運転限度や連続運転時間、休息期間など改善基準の順守に向けたトラック事業者の試行錯誤が続いている。中堅クラスの運送会社では各地に営業所を構えて中継させるケースや、長距離の定期運行を手掛ける事業者には高速道路のSA・PAでドライバーを交代させたり、拘束時間や休息期間で特例があるツーマン運行を組む光景も見られる。一方、事業所に立ち寄って長距離ドライバーを交代させる方法を探る運送会社からは「国が高速道路で実施している一時退出実験の趣旨に安全対策、さらに物流効率化を含めた内容を加えてもらえれば…」との声が聞かれる。
岡山県津山市にある中国自動車道上り線の二宮PA。時刻は午前9時半。決して広くない同PAに九州方面から走ってきた大手宅配事業者のトレーラ(熊本ナンバー)が流入した後、追うように岡山ナンバーの軽自動車が入ってきた。停車すると同時に、軽自動車のドライバーはトレーラ後部へ回ってマグネット式のネームプレートを外すと、手に持っていた自分の名前が入った同プレートに張り替えていた。
両車両のドライバーは同じユニフォームを着用。どうやらPAで運転を交代する模様。それぞれが手荷物を持ち、申し送りのように1分ほど声を掛け合った後、トレーラのドライバーは軽自動車に、プレートを張り替えたドライバーはトレーラに乗り込んで発進。PAを出た軽自動車は次の津山ICで流出していった。
雑貨の長距離便を多く手掛ける同県内の運送関係者によれば「うちの会社も近くにICがある地点では同様にSAやPAで乗り継ぎさせ、九州から来たドライバーは最寄りの営業所で休んだ後、関東方面から戻る九州便で所属事業所へ帰るスタイルを採っている」という。また、一般道からSA・PAの敷地内に入れるようなロケーションであれば「迎えの乗用車を一般道に止めておくことで少しでもコストを抑えることができる」と話す。
安全管理のために、事業所で対面点呼や車両チェックを行うことが理想と考える広島県の事業者は「高速道路のIC近くに営業所が出せれば…」と計画を練っている。ただ、市街化調整区域の問題などが障壁となって思うような場所に手ごろな物件が見つからないのが実情だ。「とりあえず車庫となる土地を借り、その周辺で事務所を探すしかない感じだ」と打ち明ける。
1日の最大拘束時間を20時間まで延長でき、休息期間を4時間まで短縮できるといった特例を踏まえ、「タイトなタイムスケジュールとなる長距離便ではツーマン運行も実施しているが、コスト的には厳しい」と前出の岡山の関係者。そのうえで「ETC2.0搭載車を対象として始まった実験の目的に、トラック輸送の安全確保という要素も盛り込んでもらえたら…」と期待する。
「賢い料金で高速を利用」という触れ込みの「一時退出実験」は、ETC2.0搭載車が高速を出て道の駅に立ち寄った後、1時間以内に同じICから再流入すれば〝ノーカウント〟となるもので、深夜割引なども途切れることなく適用される。国内の高速道路には休憩施設(SA・PA)の間隔が25km以上離れているエリアが約100か所あり、通行料金に不利なく外部の休憩施設へ一時退出できるようにすることで施設不足の解消とともに、道の駅を運営する地域の活性化も見込んでいる。
ただ、実験が始まっているのは全国で関越道・高崎玉村スマートIC(5月27日)と新東名高速・新城IC(6月24日)、山陽道・徳山西IC(7月15日)の3か所だけ。国は空白地域の半減をめざすとしていることから今後も順次、対象となるICが広がっていくと予想される。「同実験では道の駅への立ち寄りを原則にしているが、SAなどの休憩スペースが不足している現状も踏まえればコンビニなども有効な施設。また立ち寄る施設に制約を設けなければ、最寄りの営業所に戻ってドライバーを交代させることも可能になってくる」(岡山の関係者)と話す。この記事へのコメント
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