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物流ニュース
サッポログループ物流 4社共同で効果促進、安全意識の風土を
2018年2月6日
アルコール・飲料メーカーの子会社が中心となって組織されている物流技術研究会(物技研)。7社が物流や安全品質の情報を共有し合って、協力会社と共に物流品質の向上を進めている。今回は物技研副会長で研修部会長会社であるサッポログループ物流(東京都渋谷区)の井澤彰信常務(写真右)と村松寿昭副部長(同左)に話を聞いた。
「営業面ではライバルだが、安全物流品質では7社が共同でやっていきたいと考えている」という井澤常務。「トラック輸送や構内作業では同じような課題を抱えている。長時間労働や重大事故、環境問題も各社で同じような商品を輸送しているため、課題が同じ。具体的には、アルコール飲料を扱っている会社では、飲酒運転をしてしまうと会社の存続が危ぶまれる。親会社にも迷惑をかけてしまう」という。同社を含めてアルコール飲料を扱う4社共同で飲酒運転の撲滅をめざす取り組みを始めた。
「このような取り組みは各社でもともと始めていたが、協力会社は同じ会社を使っているケースも多く、1社でやるよりも4社共同で進めた方が効果はあると考えた」と説明する。同社だけでも協力会社は約400社。「協力会社によっても温度差がある。きっちりと飲酒運転に取り組んでいる会社もあれば、情報発信にとどまっているところもある。ドライバーの体調によってもアルコールを分解する時間が変わってくる。そういった情報を我々から発信していく。協力会社が同じ意識を持ってもらうように指導している」と説明する。
同社では協力会社を訪問して飲酒運転防止の教育を徹底すると同時に「アルコールチェッカーのチェックも実施している」という。「どのような機器を使用しているか、きちんと交換時期に交換しているかを調査する。交換時期を過ぎていると、数値がゼロであっても我々の機器で調べると数値が出てくることもある」と苦笑いする。
「アルコール数値はゼロが基準。直接に契約させていただいている協力会社では数値が出ることはないが、階層が進むと数値が出る会社が表れてくることもある。その場合は、お付き合いをしないというスタンス」ときっぱり話す井澤常務。「数値を出す会社と付き合うことはリスクが高い。だからこそ、協力会社と研修を実施して飲酒運転の撲滅をめざしていく」という。同社では協力会社を呼んで春と秋に安全CSの決起集会を実施している。
各支社に安全管理の専門スタッフを常勤させているという同社。長時間労働についても厳しく管理。「配車組みをチェックして、厳しい運行の場合は、ある程度の仕事をお断りするか、時間的な余裕をいただいている」と話す井澤常務。村松副部長は「リードタイムを変更していただく場合もあるし、モーダルシフトを導入する事例もある」と説明する。
共同配送については「3年前に3社で都内、今年から4社で北海道で実施している。車両不足や人手不足など同じ悩みを抱えているので、共同配送はこれからも視野に入れて、取り組んでいきたい」と井澤常務。「将来的には各社の伝票やWMSなどを工夫して統一化できればいいとも考えている。もっと効率化を図り、省人化を進める方向」という。
また、各社によって積み込み方法が違っていたものを物技研で統一。「荷崩れなどの大量破損を防ぐために、緩衝剤やコンパネの入れ方などを統一して、少しでも被害をなくすために進めている」と説明する。「当社では現場を知らない事務員にも危険予知トレーニングを受けさせている。現場をパトロールするときもどこをチェックするかをリスト化して全国で『だれが見ても同じような視点』を徹底している」という同社。「3年前から専任の安全スタッフが従来業務から離れて安全に特化した対応を進めている。今後は安全スタッフ以外の社員も安全を意識する風土づくりに取り組んでいきたい」という。
「今年から安全理念を作成して、安全活動に取り組んでいるが、理念の浸透や協力会社の共感も得られていないところが少なくない。スタートしたばかりということもあるが、これからもっと深めていきたい」と意気込む。井澤常務は「私たちのミッションは関係者を事故の惹起者にも被害者にもしないこと。何事もなく家に帰ること。それを実現するためにやっている」と話す。
◎関連リンク→ サッポログループ物流株式会社
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