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    止まらない社員流出 法令順守で窮地「何のための時短なのか」

    2018年2月22日

     
     
     

     相次ぐ重大事故の背景として労働時間に関する社会の目が厳しくなるなか、真摯にコンプライアンスと向き合おうと努めるトラック事業者が逆に、苦しい立場へと追い込まれる不条理が目立ち始めている。さらに介護や育児など家庭の事情で日帰りの仕事へと転職するドライバーも加わり、一気に2ケタ近くのドライバーが会社を去ったケースもある。担い手の流出が止まらない実運送の現場からは「このままでは会社の数年先が見えない」との悲鳴が広がっている。

     中小企業の経営悪化を懸念する指摘もあり、時間外労働の上限規制や同一労働・同一賃金などを柱とする働き方改革の実施延期を検討する動きもあるが、拘束時間の長さで突出しているトラック運送事業にとっては、制度改正の影響はあまりに大きく、国が求める時間の枠内に収めることは容易ではない。ただ、「この先も安定して労働力を確保するには、時短などによってドライバー職の印象を改善することが不可欠」との判断から、長距離便の乗務回数を減らしつつ地場配送を挟むなど、個々のドライバーがオーバーワークにならないように運行計画を組む事業者も増えた。

     しかし、その結果が運賃の減収による賃金の引き下げ。「同じ荷主に入っているにもかかわらず、会社によってドライバーの給料に差が生じる。理由は、まじめに時短に取り組む会社のドライバーは体が楽になる半面、月間の走行距離が減るから確実に給料も下がる」と話すのは岡山県南部にある中堅のトラック経営者。

     同社では昨秋以降、わずかの期間で2ケタのドライバーが退職する非常事態に陥った。業界全体が完全な人手不足のために穴を埋める傭車も見つからず、しわ寄せは残ったドライバーに向いた。「労働時間のルールを守ったことで、多くのドライバーが去り、その結果が残ったドライバーらに長時間労働を強いる始末。荷主に運賃アップを求めているが、このままでは何のために時短を進めたのか…と考えてしまう」と表情に明るさはない。

     一方、時短で給料が下がることになったドライバーのなかには賃金規程の中身に不信感を抱き、会社側に説明を求めるといった光景も見られる。「マイホーム購入のローンを組むために銀行マンの友人に相談したドライバーが『労働時間の長さから見て、この月給では最低賃金を割っているといわれた』と主張してきた」(兵庫県南部の運送会社)という例や、「自分でも歩合給を計算したいので運賃を教えてほしい」(同県北西部の事業者)といった具合だ。

     現在の人手不足は全産業的に広がる深刻な問題。年明けの8日、ある会合で同席した屋根材の製造・施工を手掛ける近畿地方の会社経営者から「仕事は危険でキツイ、汚れるイメージで、まったくの人手不足。外国人(実習生)に頼るしかないと専門業者に相談したが、月間の費用は1人40万円という。そのうえ5年間で帰国されては話にならないが、場合によってはやむを得ない」という悩みを聞いた。実習生を使う選択肢もないのがドライバーという仕事だけに、いかに運賃を正常化できるかが実運送の命運を握っている。

     
     
     
     
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