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    7月から行政処分強化 車両停止、最大5割に

    2018年4月9日

     
     
     

     国交省は3月30日、7月から自動車運送事業者に対する行政処分等の基準を改正すると発表。過労防止関連の処分が強化される。同省では、過労防止関連違反等にかかる車両停止処分などの処分定量を引き上げ、営業所での監査結果に基づき行われる車両の使用停止(行政処分)について、トラックに関しては、営業所で保有する車両全体の最大5割に引き上げるという。

     具体的な処分内容については、「乗務時間等告示順守違反」の場合、現行で初違反の場合、未順守5件以下で警告。同6件以上15件以下で10日車。未順守16件以上で20日車。未順守31件以上3人以上などで30日事業停止となっている。今回の改正で、現行の行政処分に加えて未順守1件で10日車。未順守2件以上で20日車となる。

     疾病、疲労などのおそれのある乗務について、健康診断未受診者が1人で警告。同2人で20日車。同3人以上で40日車となる。

     社会保険等未加入については、未加入1人で警告。同2人で20日車。同3人以上で40日車。

     また、行政処分により使用を停止させる車両数の割合を最大5割に引き上げる。例えば、処分150日車の場合、営業所あたり配置車両数5台の場合は車両停止2台×75日。10台の場合は5台×30日。100台の場合は15台×10日。

     法令順守を図る措置として、適正化実施機関の巡回指導は総合評価が著しく悪い事業者や新規参入後の総合評価が継続して悪い事業者、健康診断や社会保険加入などが不適切な事業者が重点的に監査される。

     国交省安全政策課では、この時期に処分強化された理由について「連絡会議で、ただちに取り組む施策がまとめられたため」と説明。「目的が行政処分の強化なので厳しくなるのは当然。厳しいかどうかは見方による。やっていない事業者にすれば厳しいだろうが、きちんとしている事業者からすれば当たり前。運送事業者は社会保険にきちんと入り、健康診断を受けさせることが重要」としている。また、「従来通り監査を受けた時点で違反がなくなっていれば問題ないが、違反が見つかった場合は過去にさかのぼって調査する。軽貨物についても対象となる」としている。同貨物課は「荷主への周知については昨年7月に行っているので、新たな改善は必要ない」としている。

     全ト協では「まずは広報紙の1面で詳細を知らせている。巡回指導の際も、しっかりと伝えるように言っている。都道府県ト協に、会員への周知徹底をお願いしており、具体的な方法はお任せしている」とし、「当然、荷主の協力なしには出来ないことで、行政でも荷主団体などに働きかけてくれている。会員から要望があれば荷主に向けたチラシなども作っていく。まだ若干時間はあるので、状況をみて必要なことをやっていく」と話している。

     東京都江東区の事業者は「荷主の現場も人手不足などで、作業が予定よりもずれ込んでおり、その影響が運送会社に波及し、荷待ち時間が多くなっている。コンプライアンスの観点から交渉はするが、できないとむげに断ることができないのも実情。労働時間の改善はわかっていても難しい。これからオリンピックの準備に向け、急ピッチで進んでいくことを考えると、無理をしてでもやらざるを得ない。その最中での規制強化は正直、厳しいと感じている。我々への罰則強化だけでなく、荷主への指導の強化を進めてほしい」と指摘。同墨田区の運送事業者は「行政処分の強化は知っているが、あきらめているというのが本当のところ。運送会社が言ってもどうにもならない問題」と言う。

     また、「規則を守らない事業者が多く、どこかでけじめをつける必要があると思うので仕方ないとは思う。ただ、健康状態をしっかりと把握することは、かなり難しい。罰則が厳しくなるということはそれなりにチェックされるはずなので、医療関係者や同等の知識のある人がいなければ難しい」(埼玉県入間市の運送事業者)という声もある。

     「長時間の荷待ちが心配だ」と話すのは神奈川県川崎市の運送事業者。食料品輸送をメインに扱っており、長時間労働防止や休日確保に向けた取り組みにも力を入れている。A氏はこうした取り組みと併せ違反防止への理解を期待できない荷主に不安を抱く。「最近も冷蔵倉庫で2時間の荷待ちをさせられたばかり」と話す。当日、現場から報告を受けて発荷主へも協力を頼み、早めの積み下ろし許可が降りた。しかし、フォークリフトを使う現場であるにもかかわらず、使用できない場所での作業となった。「我々も法令は守りたい。しかし、仕事先でこのような嫌がらせを受けるのであれば、どうすればいいのか。安全にかかわる嫌がらせをするならば、自社のトラックで配送するべきではないか」と話す。

     また、「地場配送については改善しており、293時間に収まっているが、長距離中心の運行では拘束時間や休憩時間を守れていないことがあるのは事実。処分内容が厳しくなれば長距離の仕事からは手を引かざるを得ないかもしれない。その場合に、長距離のドライバーが離職しないかが心配だ」(神奈川県の事業者)という声がある。

     その他に「平常時の運行では問題ないが、繁忙期になれば、改善基準告示の拘束時間をオーバーしてしまうケースもある。荷主には荷待ち時間の是正などを求めているが、良い回答は得られていない。これだけ処分内容が厳しくなるようであれば、仕事を断る必要が出てくる」(神奈川県の事業者)、「うちではクリーンな状態にするために、以前から社会保険の全員加入はもちろん、健康診断についても深夜運行の有無にかかわらず年2回実施している。大きな負担ではあるが問題がない状態にした。コンプライアンス違反の事業者との価格競争に巻き込まれることには辟易していた。処分が厳しくなることで不公平がなくなることを期待する」(神奈川県の事業者)という声もある。

     
     
     
     

    この記事へのコメント

     
    1. 匿名 says:

      日本郵便、時間どーりに来ない。

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