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グリッドと日清製粉ウェルナ 物流×AIで安定供給と人材育成の両立も
2025年10月29日New!!
人工知能を用いたシステムの開発・販売を手掛けるグリッド(曽我部完社長、東京都港区)は、日清製粉ウェルナ(岩橋恭彦社長、同千代田区)と、AIを活用した「冷凍食品の需給管理自動化システム」を共同で開発し、2024年10月から運用を開始。この導入により、各計画の策定時間の大幅な短縮やオペレーションの効率化が可能となり、業務の属人化と担当者不在時のリスクが解消されたほか、従来の緊急対応時におけるオペレーションリスクが低減、より安定した製品供給が可能となった。今回、同システムと物流業界におけるAIの可能性についてグリッドに話を聞いた。

システムを共同開発
日清製粉ウェルナの工場では、受注や出荷、在庫などさまざまな情報を元に計画的に冷凍食品を生産している。これまで、冷凍食品の需給管理と配送に関する各計画の立案を専門の担当者が担っていたが、計画予測の組み合わせは約1800パターンにものぼり、担当者に大きな負担がかかっていた。こうした背景のなか、同社の業務ノウハウとグリッドのAI技術を組み合わせて需給管理の自動化システムを開発、需給計画(製造計画)と在庫転送計画の自動策定が可能となった。
グリッドコンサルティング部の稲葉健太氏は、「エクセルベースの処理だと全商品の組み合わせを見切るのに限界があったが、そこをシステムでサポート。今までカバーできていなかった部分を入念に対応する点に、価値を感じていただいている」と話す。日清製粉ウェルナの担当者は、「これまで自分の頭のなかでこなしていた業務に対する知見をシステムに落とし込んだので、違和感なく使用できている」とし、「業務時間が短縮され、より高度な判断業務に充てる時間が増えた」と語る。
システムの特長
同システムではまず、過去の出荷実績と受注実績から月次の販売数量の着地見込表を作成し、その見込表と現在の在庫数・工場の稼働スケジュールに従った需給計画が策定される。次に各倉庫への配車依頼台数を決定する配車計画、さらに倉庫間の在庫移動数を決定する在庫転送計画を策定。必要な配車台数は在庫状況に応じて随時更新され、どの製品を、どの倉庫からどの倉庫へ、何ケース送るかをシステムが自動計算する。
従来、これらの計画策定に3日程度を要していたが、システム導入で1日程度に短縮。また日々の在庫転送明細の作成時間も約2時間から約45分に短縮、合計で月間50時間程度の業務時間削減となった。

根気強く向き合った
開発について稲葉氏は、「ウェルナさんが長年培ってきた業務ノウハウの紐解きが特に難しい作業だったが、根気強く向き合っていただけたところが成功に至った要因」と語る。また、「製品ごとの業務的なルールを守りながら計画を作成するところが難しかった」。
今回の開発のポイントは、完全自動ではなく、人間の介在余地を残している点。急な需要の変動やイレギュラーな事象にも柔軟な対応が可能だという。
「今まで業務が逼迫し、後継者育成も難しい状態だったと聞いている」と稲葉氏。日清製粉ウェルナの担当者は、「安定した在庫移動計画を立てられるようになり、物量波動を少なく抑え、欠品リスクが低減した」としている。
物流業界とAI
「物流業界とこの技術の相性は良く、陸海空全てにニーズがある」と稲葉氏。一方で、「今回の計画策定に使われるようなAI技術は、日本では普及し始めた段階で、生成AIほどの認知がまだない状況」と語る。
今後浸透していけば、トラックの積載効率の上げ方、ルートの選定や配送回数を少なく済む方法など、幅広く着手できる技術だという。
◎関連リンク→ 株式会社グリッド
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